合理的配慮をめぐるモヤモヤ...「本当に無理?」「あの子だけずるい」「現場が持たない」を乗り越える学級経営の視点とは?《新年度前がチャンス》
3つのモヤモヤは、この合理的配慮のみによって、すべての困りごとに対応しようとしたときに生じやすいものだと言えるでしょう。ですが、バリアをなくす方法はもう1つあります。それが、合理的配慮と対になる考え方の「基礎的環境整備(事前的改善措置)」です。
合理的配慮が【事後的・個別的】なものであるのに対して、基礎的環境整備は【事前的・集団的】な取り組みです。これは「最初から多様な人がいる前提」で、「最初からできる限り、どんな人も困りにくい仕組みやルール・環境をデザインしておく」こと。
言い換えれば、あらかじめバリアフリーにしておくことを指しています。先ほどの例で言うと「全員が学ぶ姿勢や内容を選べる授業設計にしておく」「誰でも使える個室着替えスペースを複数用意しておく」といったイメージです。
「安心安全な教室にしたい」先生のメッセージも重要
担任の先生が、ご自身の裁量で始めやすいものだと以下の例が挙げられます。
・忘れものをした場合のための文具や教科書等をあらかじめ用意し、それを使えることを明示しておく。
・チョーク&トーク以外の授業スタイルのバリエーションを増やす(自由進度、演劇的手法、作業活動中心の授業等)。
・教室や廊下にカームダウンスペースをつくっておき、気持ちが落ちつかないときや座っていられないときに使えるようにしておく。
自由な選択肢を増やすと「子どもたちが好き勝手振る舞ってしまうのでは」と思うかもしれません。
ですが、あらかじめ「誰かを意図的に傷つける行為や言動には、先生は本気で怒るからね」「カームダウンスペースは遊び場ではなく、つらさを軽減したり、落ち着いたりするための場所だよ」などと示しておくことで、そういった懸念は解消されうると考えます。
「なんでもあり」と誤解させず、人権ベースの秩序をキープするような「枠」をクリアに提示することが新年度には重要です。また、先生のビジョンやメッセージを伝えるのも、ある意味では基礎的環境整備です。例えば、「みんながつらくない、安心安全な教室にしたい。先生も想像力を持ってルールややり方を考えようとしてるけど、気づけないこともあるから、困ったことは言ってほしいと思ってるよ」といった考えを伝えておきます。


















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