河合塾が2つめとなる高校を開校、《探究・通信制・全寮制》国内外の地域拠点に滞在しながら学ぶ「ドルトンX学園」つくる訳

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ドルトンX学園では、1年生と3年生は岩手県一関市の本校と東京拠点で主に学ぶが、2年生になると国内外の地域拠点を約3カ月ずつ滞在しながら地域課題に取り組んだり、地域の人たちとの交流をつうじて学び、オンラインで授業を受ける。

旅することを楽しむ学校をイメージしてしまったので、そのまま筆者が口にすると、河合氏は厳しい表情でこう返してきた。

「旅が目的ではなく、学びです。教室から慣れない環境に飛び込んで失敗なり挫折にぶちあたって、乗り越えても乗り越えられなくても、得るものがあります。そういうことを自分の中に取り込めば、次の自分につながっていきます」

究極の探究学習である。ドルトン東京学園でも探究学習を重視しているが、ドルトンX学園ではさらに徹底した探究学習を目指している。2年生での探究を、3年生では時間をかけて振り返り、まとめることになる。生徒主体の、そして社会とつながった学びが実践されるわけだ。

こうした学びのスタイルはアメリカのミネルバ大学が有名で、学生は4年間で世界8都市に移り住みながら、オンラインで授業を受講する。そのミネルバ大学と、ドルトンX学園は連携関係にある。だが、ミネルバ大学を真似てドルトンX学園の構想ができたわけでもない。

「いろいろな場所に滞在しながら学ぶという構想が先にあって、それを模索する中でミネルバ大学との出会いもありました」と、河合氏は言う。

とはいえミネルバ大学から学ぼうとしているところは多く、同大の特徴である単に知識ではなく社会に通用する力を自己評価しながら身につけていく学び方はドルトンX学園でも活用されていくという。

そして、全寮制というところもミネルバ大学と同じだ。広域通信制といえば、自宅で学習して、たまに登校するのが一般的であり、全寮制はその対極にあるはずだ。

もちろん、そこにも意味があり、2年生になるとグループで各地域を移動しながら学んでいくために、その共同生活の基礎力を1年生の共同生活で養うのだ。3年生になると、2年生で移動しながら体験して学んだことを、じっくりと時間をかけてまとめるときであり、それも協働でやるために全寮制が適しているという考えである。

日本の教育に新風を巻き起こすか…

これまでになかった新しいスタイルの学校である。懸念は、この新しさに対するニーズがあるのか、ということだ。

ドルトンプランを実践する学校としてはドルトン東京学園が先行していて評価も高くなっているが、こちらは全日制であり、全寮制でもない。

広域通信制で全寮制、しかも世界を移動しながら学ぶコンセプトは、はたして受け入れられるのだろうか。将来に夢を抱く子どもたちには希望あふれる学校に映っても、「名門大学から一流企業への就職で安泰」という従来の価値観から抜け出せない保護者には、新しい学校は抵抗があるかもしれない。

保護者が認めなければ、いくら子どもが願ってもドルトンX学園への入学は難しい。その疑問に、河合氏は答えた。

「何万人も生徒を集めなければならないとなれば、難しいかもしれません。しかしドルトンX学園の募集は1学年150人で、それくらいであれば、私たちの構想に賛同してくれる子どもたちと保護者はいると考えています」

河合英樹 学校法人河合塾 理事長
河合英樹(かわい ひでき)学校法人河合塾 理事長、学校法人河合塾学園 理事長、KJホールディングス代表取締役社長/1982年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業。三菱地所を経て学校法人河合塾 入塾。1020年に学校法人ドルトン東京学園(現・学校法人河合塾学園)学園長就任。同年から学校法人河合塾 理事長。24年からKJホールディングス代表取締役社長(写真:本人提供)

ドルトンX学園がドルトン東京学園とともに、日本の教育にさらなる新風を巻き起こすことになるのか期待したい。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
前屋 毅 フリージャーナリスト

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まえや つよし / Tsuyoshi Maeya

1954年、鹿児島県生まれ。立花隆氏、田原総一朗氏の取材スタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーに。著書に『学校が合わない子どもたち』(青春新書)、『学校が学習塾にのみこまれる日』(朝日新聞社)、『ほんとうの教育をとりもどす 生きる力をはぐくむ授業への挑戦』(共栄書房)、『ブラック化する学校 少子化なのに、なぜ先生は忙しくなったのか?』(青春出版社)、『教師をやめる 14人の語りから見える学校のリアル』(学事出版)など。

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