暴露本出したウッズ元キャディーの大誤算 「奴隷」の言葉に批判集中、言い訳に追われる

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ゴルフ界のかつての王者ウッズと長かれ短かれともに歩み、そして別れた人はウイリアムスだけではない。ウッズのプロ転向後の初代キャディー、マイク・コーワン(通称“フラフ”)はウッズから解雇された後はジム・フューリックのキャディーを務めているが、フラフは自分をクビにしたウッズのことを一言も公の場で語ってはいない。

ウッズの元妻エリンは、離婚間もないころこそ、建てかけた豪邸を業者にブルドーザーで破壊させたりと奇怪な言動を見せたことがあったが、かつての結婚生活における元夫のあれこれを暴露したりはしていない。

絶不調だったウッズのコーチを4年間務め、昨夏に契約解消となったショーン・フォーリーも、今年5月に突然破局を迎えた元恋人のスキーヤー、リンゼイ・ボンも、自分たちが知り得たウッズに関しては沈黙を守っている。

ウッズは暴露本に対して沈黙

それならば、ウイリアムスによって暴露された当の本人ウッズはどんな反応を示しているかと言えば、元兵士たちをたたえるベテランズデイに亡き父アールへのメッセージをツイッターで発信するなど暴露本とはまったく無関係の言動しか見せておらず、それは「ウイリアムスのことなど気にも留めていない」というウッズの無言のメッセージと受け取れる。

「沈黙は力なり」がつねに正しいとは限らない。正義を信じる告発であれば話は別だが、暴露という一方的な声の上げ方が正義になることはない。あの不倫騒動後、ウッズから離れ、やはり暴露本を出した元コーチのハンク・ヘイニーは、あれからすっかり存在感が薄れてしまっている。暴露という行為は、瞬間的に注目を集めることはあっても、最終的にもたらすものは負の作用でしかない。

暴露本出版後、どんどん広まりつつある批判の声に対し、ウイリアムスはエクスキューズばかりを重ねている。

「出版したエディターには失望している。僕が“奴隷”という言葉を使ったのはたった1回なのに、まるで本のすべてが暴露のようにアピールするなんて……」

さらには「奴隷というものが決して存在しないこの世の中において、奴隷という言葉を使うときは、毎日繰り返す作業を示すためのたとえにすぎない。それに(クラブを拾い上げる作業を)奴隷のように感じたのは僕自身であって、僕が奴隷のように扱われたとは言っていない」という言い逃れぶりだ。

見苦しいぞ、ウイリアムス――その一言以外に、もはや投げかける言葉すら見つからない。

舩越 園子 在米ゴルフジャーナリスト

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ふなこし そのこ / Sonoko Funakoshi

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年にフリーライターとして独立。93年渡米。在米ゴルフジャーナリストとして新聞、雑誌、ウエブサイト等への執筆に加え、講演やテレビ、ラジオにも活動の範囲を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。アトランタ、フロリダ、ニューヨークを経て、現在はロサンゼルス在住。
 

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