【産業天気図・百貨店】再編が相次ぐが統合効果は未知数。「曇り」が続く

百貨店業界は、07年度後半、08年度前半も「曇り」が続きそうだ。
 9月に経営統合した大丸と松坂屋ホールディングス(共同持ち株会社はJ.フロントリテイリング<3086>)に加え、08年4月には三越<2779>と伊勢丹<8238>が経営統合するなど、業界再編が相次いだ。これで国内は、高島屋<8233>、セブン&アイ・ホールディングス<3382>傘下のミレニアムリテイリングを含めた1兆円規模の4陣営がせめぎ合う形となるが、経営統合による規模拡大がどれだけの効果をもたらすかは未知数だ。
 J.フロントでは、営業利益率2%台の松坂屋に、同4%台の大丸が持つローコスト運営の手法を全力で移植する方針。統合発表直後から、部門ごとのプロジェクトや人材交流などによってコスト効果はすでに出てきているが、3年後の営業利益600億円目標に向けては、コスト削減だけでなく売り上げ拡大が必須。消費者に見える部分でいかに統合効果を出せるかが焦点となりそうだ。
 伊勢丹と三越は、14年3月期の営業利益率5%を目標に掲げる。独自の情報システムと業務フローで大丸と同水準の利益率を誇る伊勢丹と、今期もなおジリ貧が続く三越。こちらも、伊勢丹の手法を三越に移植することが統合の肝となるが、両社には、J.フロントの2社以上に社風文化的な隔たりがあることは否めない。不振な地方店の整理にも手をつける必要が出てくるなど、統合効果を発揮させるために超えるべきハードルは高い。
 高島屋やミレニアムリテイリングも含め、百貨店大手各社は、市場縮小の一途をたどる中でいかに顧客の囲い込みを図るかに躍起となっているが、消費者のライフスタイルの変化に伴い、競争相手は業態を超えた全小売り業に及びつつある。ローコストの運営手法を追求しながら、いかに百貨店ならではといえる魅力的な売り場を作るか。その解を見つけられなければ、再編のメリットは得られまい。
【堀越 千代記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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