米国・イスラエルvs.イラン、戦争の可能性は低い

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第二に、実現した米軍のイラク撤退に続くアフガン撤退。

第三に、イラン攻撃を実施した場合に確実に起こる原油価格の高騰。

しかし、イランがオバマ大統領にとって戦略上の大きな頭痛の種であることに変わりはない。武力衝突の危険は解消されたわけではない。米国とイスラエルの高官の中には、武力衝突は不可避だとして「遅すぎるよりは早すぎるほうがましだ」と考える人たちが多く存在する。一方イランの指導者の中にも、イスラエルを核攻撃しかねない人たちがいる。

イランは、自分たちの核開発計画は平和目的であり、兵器級のレベルにまでウラン濃縮を進めているわけではないと主張する。この点で国際社会──具体的には国際原子力機関(IAEA、イランも加盟)──と根本的に主張が対立している。イラン人以外の専門家のほとんどは、イランの主張に疑問を呈し、イランは自らも署名した条約を反故にしようとしていると見る。

米国の政治における重要なマントラ(持論)の一つは、米国はイランの核武装を絶対に認めない、というものだ。共和党の大統領候補、ミット・ロムニー氏は、オバマ大統領はイランに対して手ぬるいと批判してきたが、専門家の中には、この見方を本心から支持する人もいる。

しかし、大多数はひそかに違った見方をしている。彼らは「われわれはマントラを繰り返さねばならない。さもないと批判されるからだ。しかし真に問うべきは、『イランを動かしているのは誰なのか』という問題だ。イランは誇り高い歴史を持っている。今、この国を支配している過激な宗教指導者たちの考えだと思われがちな、『この地域に影響を及ぼす存在でありたい』という願望が、実ははるかに広範な国民のものだということを否定できない」と語る。

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