東京都「学校のカスハラ対策」公表は誤解?学校は「理不尽な保護者」でも排除できない、"良好な関係づくり"前面に出す訳…結局は現場任せか

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ガイドラインが「モンペに対抗し排除するもの」だと受け取られてしまうと、いたずらに保護者を刺激して関係を悪化させてしまいかねない。「良好な関係づくり」を前面に出したい都教委としては、そのことを懸念している。

とはいえ、ガイドラインの内容は「刺激」的でもある。保護者との面談時間を、「平日の放課後、30分までを目安(状況に応じ60分まで)」と明記している。その面談についても、次のように指示されている。

保護者面談の対応について
※外部配信先では図表がうまく表示されない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください。

それでも業務に支障が生じると判断した場合は、「当該行為の中止の要請等の手順を踏んだ」うえで「対応を終了」するとなっている。

さらに保護者とのやりとりでは、「電話機の録音機能やボイスレコーダーを活用しましょう」と明記してもいる。かなり「強硬」な姿勢にも思えるが、「これくらいしないとモンペ対応は泥沼化するばかり」という見方があるのも事実だ。

今年度中に都教委がガイドラインを確定すれば、来年度以降、東京都内の学校現場で実際に運用されていくことになる。それをしゃくし定規に捉えて、「面談の時間は30分」と宣告して、これ見よがしにボイスレコーダーを目の前に置く教員も出てくるかもしれない。

それに、不快感を示す保護者もいるはずだ。良好な関係づくりのためのガイドラインにもかかわらず、良好な関係を壊す可能性もある。

ガイドラインの内容は「基本的にはレアケース」

ガイドラインには、面談時間など細かいことを示す一方で、「現場の実態に応じ、柔軟な対応をお願いします」との一文が入れられてもいる。面倒な対応にならないように「柔軟な対応」ということで学校現場に任せてしまっているようにも思える。

そういう姿勢なのは、保護者との関係が悪化することを今ひとつ深刻に捉えていないためで、モンペの存在について楽観視しているからなのかもしれない。教育庁の松永氏も次のように言った。

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