東京都「学校のカスハラ対策」公表は誤解?学校は「理不尽な保護者」でも排除できない、"良好な関係づくり"前面に出す訳…結局は現場任せか
条例に基づいて、東京都産業労働局は全産業に向けて共通マニュアルを示している。そこに学校向けが含まれていなかったので、都教委がつくったのが今回のガイドラインである。
学校におけるカスハラ対策は、常識を超えた過剰で理不尽な要求やクレームを繰り返す保護者を指す「モンスターペアレント」(モンペ)に対抗し、排除するためのガイドラインと受け取られている。しかし、そう受け取られることに都教委としては抵抗があるらしい。
都教委の事務局である東京都教育庁の人事部勤労課長の松永武志氏が次のように説明する。
「例えば、飲食店なら、極論すればカスハラの顧客に二度と来店させないというかたちでの対応が考えられます。しかし学校の場合、保護者と問題があっても、その子どもは学校に通い続けるので、保護者との関係を切るわけにはいきません。それが他産業と大きく違うところです」
モンペに「対抗し、排除する」というわけにもいかないのだ。「二度と来るな」と喉元まで出かかっていても、それは絶対に口に出してはいけないのが学校である。
「良好な関係づくり」を前面に出したい訳
今回のガイドラインの案や素案が示されて検討している会議について、「教職員への過度な要求などのカスタマーハラスメント(カスハラ)対策を検討する有識者会議」と報じているメディアもある。
しかし有識者会議の正式名称は、「学校と家庭・地域とのより良好な関係づくりに係る有識者会議」(以下、有識者会議)であり、先に紹介したようにガイドラインの正式名称にしても、「モンペ対策」を強調するものではない。
教育庁の松永氏も、「都教委として目指しているのは、あくまで学校と保護者との良好な関係づくりです」と強調する。



















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