語学を生かし、洋楽からドラマ・映画やエンタメ業界を駆け抜けた前田浩子プロデューサーに聞く半生と日台合作映画の舞台裏
真面目で真摯な姿勢の素晴らしい俳優さんでした。世界レベルのプロと一緒に仕事をしたことで、誰に対しても臆することがなく「職人」として対話できるようになったと思います。
――その後、日本のドラマ制作にも深く関わるようになります。
学生の頃から三谷幸喜さんの舞台のファンでしたが、その時に出会ったプロデューサーがその後に三谷幸喜さんをドラマの世界に連れてきて、『古畑任三郎』が生まれました。あれはまさに、“刑事コロンボ”へのオマージュなんです。
田村正和さんには可愛がっていただき、『総理と呼ばないで』『新ニューヨーク恋物語』などニューヨークを舞台にしたドラマもご一緒しました。映画やテレビを通してアメリカと日本の架け橋になりたいと思い描いていた長年の夢が、少しずつ形になっていった時期です。
本格的に映画の世界に入り、台湾とも接点
ちょうどその頃、岩井俊二監督の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』をみて衝撃を受けました。東京ドームもないころで、野球中継が雨で中止になり、急遽そのドラマが放送されたのでした。「何これ!?日本にもこんな才能ある人がいるの?」って、調べてみると『ゴーストスープ』をはじめ、斬新でおもしろいものがたくさんありました。
そんな折に、「君は映画制作をやるべきだ」と声をかけてくださっていたフジテレビの河井真也プロデューサー(『私をスキーに連れてって』『リング』など数々の話題作を手掛ける)から、「今、無国籍な雰囲気の映画を撮ろうと思っていて、監督は岩井俊二という人だけど知っている?」と連絡がありました。「打ち上げ花火の人ですよね?ぜひ脚本を読みたいです!」と伝えて、脚本を読んだら「もう絶対にやりたい!」となりました。それが――『スワロウテイル』でした。この作品で本格的に“映画の世界”へ足を踏み入れました。
――岩井監督といえば、『Love Letter』が台湾でも大ヒットし、今でも若い世代のファンを増やし続けています。
『Love Letter』をきっかけに私も大好きだったエドワード・ヤン監督と岩井監督の交流が生まれました。私も昔から『恐怖分子』が大好きで、あの複雑で不穏な感じに惹かれていたのですね。エドワード・ヤン監督と岩井俊二監督は、お互いを本当にリスペクトしていました。私は2人の交流を見ているだけでワクワクしていました。実は『ヤンヤン夏の思い出』の日本版予告編は、岩井俊二監督が編集したのですよ。
――ほかに好きな台湾の監督は?
台湾映画でもうひとつ衝撃を受けたのが、アン・リー監督の『ウェディング・バンケット』です。ニューヨークで観て、あまりの素晴らしさに笑って、泣いて、感動しました。アメリカ人の友達を何人連れて観に行ったことか(笑)。



















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