各地で「整備新幹線建設が進まない」根本的な理由 誰も気づかない、工事費上昇よりも根深い問題
それと同じ構図が今回の敦賀延伸で感じられる。敦賀―新大阪間に関しては京都でも反対運動が起きているので、石川県と京都府が連携して福井県を挟み撃ちにしている構図になっている。
――米原ルートは主に滋賀県内を走りますが、滋賀県は米原ルートに否定的です。ルートの当事者が否定しているのに、それを置き去りにして議論が進むのはなぜでしょうか。
滋賀県内にも米原ルートを支持する声があることに加え、京都と一言で言っても、京都市と京都府では立場が違う。京都の中でもさまざま事情が複雑に絡んでいる。
そもそも、鉄道のルートをめぐって、どのようなステークホルダーがいて、それぞれのステークホルダーがどういう事情を抱えているのかということが、1枚の絵にまとめてられていない。ここにこういう利害の衝突がある、ここでこういう課題が生じているといったことが断片的に語られているが、全容が見えていない。
――なるほど。
西九州新幹線や北陸新幹線をみていると、問題のポイントは3つある。第1はステークホルダーがどこにどれだけいるかが整理できていないこと、第2は各ルートの費用対効果に加え、ルートを決めると誰にどういうメリットやデメリットがあるかが必ずしも整理されていないこと、第3は絡み合った利害の論点を整理し、調整する機能が見えにくいことだ。
政府・与党が決定しても紛糾する理由は?
――整理をするのは国ではないのですか。
小浜・京都ルートは2017年当時に与党だった自民党と公明党が、与党プロジェクトチームとして決定した。その後は、建設の大前提として国土交通省が全国新幹線鉄道整備法第7条第1項に基づく新幹線建設に関する整備計画を決める必要があるが、その入り口の作業も始まっていない。つまり、まだ、国の施策と位置付けられる手前にあるわけだ。もちろん、国は与党の検討結果を追認する格好になるわけだが、与党の決定に対して府県から異議が出ている上に、与党の枠組みが変わったため、解決への手順が〝政治的手続き〟にならざるをえない。



















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