「子どものため」が仕事を無限に増やす…進路業務から始める「脱自前主義」のススメ 《教員が手放せば生徒の成長チャンスに》
出願書類や履歴書、返信用封筒のような身近な書類の書き方は、受験間際になって初めて練習ではなく、「硬筆書写」の時間に組み込んでやっておくことだってできる。
現金以外で手数料を支払う仕組みが銀行振り込みのほかに収入証紙や定額小為替などさまざまあること、もちろんオンライン決済の仕組みとともに社会科や技術家庭科で扱ってもいい。
『生き延びるための事務』(坂口恭平著)という書籍がある。これは中学生にも必要なことがたくさん書かれている。中学生が生きていくための事務という学びをぜひ。
面接は「演技」じゃない
受験校が決まると、面接試験を行う高校を受験する生徒への対策も始まる。受験する高校に面接がなくても、アルバイトの面接、就職試験、昇進試験など、人生で何度か面接試験を受けるチャンスがあるので、基本的なことは全員が知っていたほうがいい。
けれどここでも、「やりすぎ」に陥らないように注意したい。例えば入退室の所作、細かすぎる服装頭髪指導、パターン化した受け答えにばかり関心を向けること。
私の経験では大概、最初の面接指導は担任や学年団で練習をして、仕上げとして校長が行うことが多かった。びっくりしたのは、想定問答集を暗記して、面接の受け方ビデオに出てくるような所作や受け答えを完全コピーしてくる生徒がいること。例えば、
私「あなたはこの高校に入学したとして、どんな学びをして、卒業後はどんな進路に進む、またはどんな職業に就きたいと希望していますか?」
生徒「はい。今はまだはっきり決まっていないので、高校3年間で一生懸命勉強したり、部活動などに取り組んだりして決めたいと思います」
私「あの、今の時点での希望でもいいんだけど、話してくれる?」
生徒「はい。今はまだ決まっていないので……」
私「あのね、あなたの今の希望でいいわけよ。例えば今の希望で、保育士に興味がある、だけど高校で学ぶ中で、デザイナーになりたいとか希望が変わることだってある。そんなのは何の問題もない。あなたが今、好きなことを語ってみない? 私はそこが聞きたいな」
そう言うと、ちょっとびっくりした表情になる生徒が何人もいた。「“型”をクリアして、よい点数をとれば合格するんだよね」というような考えを持ってほしくない。



















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