「子どものため」が仕事を無限に増やす…進路業務から始める「脱自前主義」のススメ 《教員が手放せば生徒の成長チャンスに》

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総じて学校の職員は自分の責任を全うしようと一生懸命で自己犠牲もいとわない傾向が強い。勤務時間を超え、休日を返上し、時には自費で教材を購入し、よい授業、よい指導、よい先生であろうと努力する。

「子どもたちのために」「将来困らないように」「つらい思いをしないように」そんな親心で、業務の範囲がどんどん拡大してしまった。中学3年生の学年に所属すると、進路に関する事務が押し寄せる。

出願手続きの要領、スケジュール、生徒の意思確認、面談、会議……毎日のタスクがいっぱいだ。

出願の「手続き」は生徒が事務を学べるチャンス

ここからは自分の教諭時代の経験と反省、「よかれと思って」を疑うべきだった、という後悔談だ。今、公立高等学校の出願手続きもオンライン化されているところが増えてきた。が、手書きのところは願書や返信用封筒のあて名書き、受験料の支払いなどの手続きが生まれる。

多くの中学生にとって、これが最初の「事務」だ。緊張するだろうけど、出願書類くらいは自分で作製させるべき。だけど、そのための準備は教員がする。

記入例、記入上の注意を記したプリントを作り、教室で説明をし、下書きを書かせて、丁寧にチェックし、添削をする。いざ、清書が提出されたら、担任がや学年団が詳細にチェックをする。

公立の場合は都道府県収入証紙を貼付して出願するが、「売りさばき所」が校区にない場合は、現金を集め、教員や学校事務職員が買いに行く、などこまごまとした仕事を「やってあげて」しまった。高校受験が初めての受験、手続きが人生初めての事務手続きになる中学3年生に、この部分をもっと自分でさせてあげればよかった。

それは、教職員たちの働き方改革とかではなく15歳の彼らが自分の進路を決定するときに、世の中とこんなふうにかかわるんだという学びとして、だ。もちろん、難しい人には個別にアドバイスや支援をする。

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