日本語が話せない「外国籍」の子が急増中、授業がストップ、教室から脱走も…先生にも大きな負担「日本語支援」追いつかず学校大混乱の実情

✎ 1〜 ✎ 32 ✎ 33 ✎ 34 ✎ 35
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

佐藤さんやその周囲は、16年頃から外国籍の子どもが急増し、混乱が広がったと感じているという。

文科省の資料を見ると、08年から12年の4年間は、日本語指導が必要な児童生徒数は3万3000人前後となっており、外国籍の子も2万8000人前後で大きな変化はないが、14年に外国籍の児童生徒数が約2000人増、16年には約5000人増となっている。

日本では15年に入管法が改正され、在留資格「高度専門職」の創設、「投資・経営」ビザが起業しやすい「経営・管理」ビザへ変更 (25年10月より厳格化)となったほか、在留資格「技術」と「人文知識・国際業務」を「技術・人文知識・国際業務」に一本化、小中学生にも在留資格「留学」を付与するなど、日本経済の発展に寄与する外国人の受け入れを促進するために在留資格が整備された。

今後も、日本語指導が必要な外国籍の子どもは増える可能性があり、その子たちを支える日本語支援員は不足すると見られる。

「日本語支援員の給与は、市町村の税金で賄われています。仕組みや指導内容も市町村によってバラバラです。外国籍の子どもが急激に増える中、市町村も学校もなんとか対応してきました。外国籍の子どもが今ほど多くなかったときは対応できたのですが、今では対応しきれない状況になっており、早急な見直しが必要な状況です」

現体制での日本語指導に限界

では、どんな解決策が考えられるのだろうか。佐藤さんはこう提案する。

「これまでの支援体制は市町村や学校の負担が大きすぎたため、国や都道府県レベルで一律の対応をすべきでは。1対1や少人数での対応はすでに限界を迎えているので、日本語指導が必要な児童生徒を1カ所に集めて日本語指導を行う形がいいでしょう。そうなると、さまざまな母語の子どもが集まることになるので、日本語で日本語を教える指導となります。

そこで外国籍の子どもたちにしっかり日本語を身に付けてもらうには、日本語指導の専門知識を持つ人材に任せることが重要です。こうして日本語がある程度身に付いた段階で、地元の学校に送り出すのが望ましいのではないでしょうか」

文科省も、25年に「外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議」を8回にわたって開催している。検討事項には①指導内容の深化・充実、②指導体制の確保・充実、③日本語指導担当教師等の指導力の向上、④外国人児童生徒等の就学・進学・就職機会の確保、とある。この議論が、どこまで外国籍の子どもの日本語指導の現状を踏まえたものになるのか。いずれにしても早急かつ抜本的な対応が求められそうだ。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事