アナタが知らない「駅のホーム」の危険な世界

盲学校の歩行指導に同行したら見えたこと

ホーム下への退避訓練。思ったよりスペースは狭い(撮影:大澤誠)

ホームから落ちた後、自力でホームに上がれるかも全員が試した。このホームの高さは1メートル以上ある。上がれたのは13人中2人だけだった。

ホームの下には退避スペースがある。そこに隠れることができるか、全員が試してみた。壁に身体をぴったりと張り付ければ、列車を避けることはできそうだ。ただし、千葉盲学校の最寄り駅である四街道駅の退避スペースは、こんなに広くないという。

大人だと車両にぶつかってしまう

ホームに自力で上がる、退避スペースに隠れるといった体験に続くのが、冒頭のレールとレールの間にうつぶせになる体験だ。

冒頭の悲鳴を上げた生徒には、指導員が「怖くないですよ。ただの棒ですから」となだめて落ち着かせた。そして、生徒の上を金属の棒が通りすぎる。「動いちゃだめですよ」。じっとしている生徒の上を金属の棒がすーっと通過する。だが、肩を少し持ち上げた別の生徒には金属の棒がぶつかった。

ホームの端までどの程度の距離か、手で触って確認(撮影:大澤誠)

地面からレールの上までの高さはせいぜい30センチメートルしかない。子供ならじっとしていれば列車をやり過ごすことができるが、大人ではまず助からない。

また、じっと動かないとしても、風圧で衣服がめくれ上がって機器に引っかかってしまうと、列車に引きずられてしまう危険がある。「落ちたらとにかく『助けてー』と大声で叫んでください」と指導員が説明した。

ホームや線路での体験に続いて、踏切での体験も行った。踏切の横断中に転んだらどうするか。「遮断機は前に押しても動きませんが、斜め上に押せば動きます」。指導員の指示に従い、生徒全員が実際に遮断機を動かしてみた。「われわれは見ればわかりますが、生徒たちは実際に自分で試してみないとわからないのです」と、生徒を引率した瀧本和男教諭は言う。

中学部3年の中山未悠さんは「線路からホームまでの高さが結構高いので、落ちないように気をつけないといけない。落ちたら自力で上がろうとせず、がんばって叫びます」と語った。

千葉盲学校がこのような鉄道体験会を実施したのは、「6~7年前に当校の生徒が駅ホームから転落したのがきっかけだ」(瀧本教諭)。転落時の対処法などを学べる施設がないものかと思っていたときに、このセンターの存在を知った。

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