少年時代に労災を経験した韓国の李在明大統領、産業現場を「死の職場」と呼び、諸外国よりも高い労災事故発生率の低減に本腰
今月初め、韓国東部蔚山の火力発電所で解体作業中のボイラータワーが倒壊。現場で作業の準備をしていた作業員9人のうち2人はすぐに救出されたが、他の7人は下敷きになり、救助隊員による遺体の収容作業が完了するまで一週間以上かかった。
李大統領は7月、労働者が圧死する事故があった食品大手SPCグループのパン工場を訪問した際、「私もかつて工場労働者であり、労働災害の被害者だった」と述べた。この訪問後、SPCは勤務シフトを12時間シフトから8時間シフトに変更した。
この数カ月では、建設会社ポスコE&Cが高速道路建設業者2人の死亡事故を受けて最高経営責任者を解任し、103の建設現場を停止した。造船会社ハンファ・オーシャンは、造船所で監督者が死亡したことを謝罪し、操業を停止した。DL建設の幹部約80人は、建設現場での死亡事故を受けて辞表を提出した。各社とも、安全対策を講じた後、操業と建設を再開したと発表している。
表面的な変化
2024年、重大災害処罰法の対象が5人以上を雇用する事業所に拡大された。死者1人の労災事故が発生した場合、雇用主は1年以上の懲役刑の対象となる内容だ。
しかし、死亡者数は過去5年間減少しておらず、2024年には4.1%増の2098人となった。法律違反で告発された雇用主の86%近くが執行猶予付きで釈放され、平均7300万ウォンの罰金を支払っている。
批判する側は、韓国大統領はポピュリズムに走り、事故防止よりも企業の追及に力を入れていると言う。
ソウル科学技術大安全工学科のチョン・ジヌ教授は、韓国には他の先進国に比べて多くの安全検査官がおり、李大統領の施策は安全を演出しているだけに過ぎないと述べた。
「もし決して満たすことのできない基準を満たすよう迫り続けるなら、企業は『やっているふり』をするようになる」とチョン氏は語った。
金雇用労働相は、政府は懲罰的な措置だけでなく、安全設備購入に対する補助金のような予防措置も講じていると述べた。
「これは政治的なショーでも一時的なものでもない」と金氏は語った。
同氏は、韓国の労働災害の問題は、企業が法的責任の回避とコスト削減のため、何層もの下請け企業を使っていることにより悪化していると話す。与党「共に民主党」は8月、下請け労働者への保護を拡大する「黄色い封筒法」を可決させた。
120万人の組合員を擁する韓国全国民主労働組合総連盟(KCTU)は声明で、ボイラータワーの倒壊事故が起きた発電所を運営していた政府系企業の韓国東西発電は、外注労働者を雇うことでリスクを回避しようとしていたと指摘。同労組はまた、同社には安全規則が欠如しているとも述べた。
東西発電のクォン・ミョンホ最高経営責任者(CEO)は13日、事故原因を調査し、状況を改善するよう努力すると述べた。
現代製鉄の工場で事故に遭った有期労働者のキムさんは、事故後1カ月間入院し、精神疾患と向き合うために2年間の休職を余儀なくされた。その後、生活のために元の仕事に戻ったが、安全対策の改善は見られなかったと話した。「復帰後も何も変わっていない」
現代製鉄の広報担当者はコメントを控えた。
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