「顔のシミ・しわ・たるみ」は本当に年齢のせい? 皮膚の老化を加速させる"最大の環境要因"

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がんにならなくても光老化はしわやシミができるのを加速します。高齢者の顔の皮膚はハリがなく、深いしわがあり、たるんでいる人も少なくありません。むしろ、「たるんで、しわしわな顔=高齢者」というイメージがあるはずです。

皮膚免疫の第一人者である京都大学医学研究科の椛島健治教授によりますと、加齢の老化だけではここまでの変化は起きないようです。

紫外線を防御するために出る酵素が、肌を老化させる

では、私たちの体に何が起きて、しわが深くなっているのでしょうか。

皮膚は上から表皮、真皮、皮下組織と三層構造になっています。私たちの目に見えている皮膚は表皮です。見えるのはほんの一部にしかすぎません。

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皮膚の組織の中で最も大きい部分が真皮で、その大部分は弾性線維(エラスチン)と膠原線維(コラーゲン)からできています。この真皮のダメージが、しわになります。

真皮の中にある弾性線維は名前の通り弾力性がある線維です。皮膚を引っ張ってもすぐに元の状態に戻るのはこの線維を含んでいるからです。 もうひとつの膠原線維は強度を保つのに必要です。皮膚が薄くても切れにくいのはこの線維の役割によります。この弾性線維と膠原線維は網状に重ねられていて、肌の張りを保っています。

地球に届く紫外線は大きく分けて2種類あり、UV-A、UV-Bとそれぞれ呼ばれます。

UV-Aは真皮まで届きます。そして、ある酸素を介してコラーゲン分解酵素のMMP(コラゲナーゼなど)やエラスターゼを誘導するのですが、この酵素の活性が過剰になると、コラーゲンや弾性線維が損なわれ、厚ぼったさや深いしわ、たるみになります。

異常な弾性線維が溜まってしまう「ソーラーエラストーシス」も光老化で起こります。ソーラーエラストーシスとは、皮膚が全体的に黄色っぽく厚みを帯びてごわごわし、深いしわや溝になったり、毛穴が目立ったりする状態になることです。

吉森 保 細胞学者、大阪大学名誉教授

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よしもり たもつ / Tamotsu Yoshimori

大阪大学理学部生物学科卒業後、同大学医学研究科中退、私大助手、ドイツ留学ののち、1996年オートファジー研究のパイオニア大隅良典先生(2016年ノーベル生理学・医学賞受賞)が国立基礎生物学研究所にラボを立ち上げたときに助教授として参加。2017年大阪大学名誉教授。2018年生命機能研究科長。大阪大学大学院生命機能研究科教授、医学系研究科教授。

大阪大学総長顕彰(2012~15年4年連続)、文部科学大臣表彰科学技術賞(2013年)。日本生化学会・柿内三郎記念賞(2014年)、Clarivate Analytics社Highly Cited Researchers(2014年、2015年、2019年、2020年)。上原賞(2015年)。持田記念学術賞(2017年)。紫綬褒章(2019年)。

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