トヨタ自動車やホンダなどが参画する米自動車イノベーション協会(AAI)は6月、「米政権の対応がなければ自動車生産が止まる可能性がある」としてトランプ政権に懸念を表明する書簡を提出。欧州自動車部品工業会(CLEPA)は6月に「状況は依然として深刻。複数のサプライヤーから通関手続きの問題が報告されている」と説明した。
日本も人ごとではない。日本経済団体連合会の副会長とモビリティ委員会の委員長を務める、トヨタ自動車の佐藤恒治社長は10月下旬、「レアアース資源の安定調達は非常に重要なテーマだ」と強調したうえで、経団連として経済産業省と対応策を練る議論を重ねていることを明らかにした。この議論には日本自動車工業会や日本自動車部品工業会も加わっており、業界を挙げて対応策の策定に乗り出した形となる。
「もはや、一企業でどうにかできるようなテーマじゃない。業界や国としてどのように安定的に調達していくかが重要だ」。大手自動車メーカーの幹部はそう強調する。個社単位でも、レアアースの調達不安を乗り越えようとする動きが出ている。
レアアースを使わない磁石の開発に成功
大手自動車部品メーカーのAstemo(アステモ)はレアアースを使わないフェライト磁石を採用して駆動するEV(電気自動車)向けモーターを開発。2030年ごろの実用化を目指す。特殊鋼メーカーの大同特殊鋼やプロテリアル(旧日立金属)も、レアアースの中で中国依存度が高い「重希土類」を使わない磁石の開発に成功した。


















