有料会員限定

世界経済はどこまで「武器化」してしまうのか? このままでは世界貿易は縮小して敵対的なブロックへの分裂が進む

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
「武器化された相互依存」は世界貿易を敵対的なブロックに分裂させ、ここ数十年で何十億人もの人々にかつてない繁栄をもたらした結びつきを弱体化させかねない(写真:ブルームバーグ)

2025年1月、アメリカのドナルド・トランプ大統領は、バイデン政権が政敵を標的にするために司法機関と諜報機関のつながりを利用したとして、連邦法執行機関の「武器化」に終止符を打つ大統領令に署名した。

批評家たちはこの命令をパフォーマンスと見なしたが、大統領支持者は過剰な党派性に対抗する大胆な姿勢と受け止めて称賛した。こうした大統領令への署名パフォーマンスの背後には、エネルギーパイプライン、海上交通路、世界貿易、金融フローなど、はるかに大きな問題が控えている。

経済パワーが威圧的な機能を果たす

有識者による政治・経済コラムを翻訳掲載。週刊東洋経済掲載分だけでなく、多くの選りすぐりのコラムもタイムリーにお届けする。バックナンバーはこちら

国際情勢の研究者たちは、戦略的な優位性を確保するために非対称的な経済関係をどのように活用することができるかを長い間検討してきた。

20世紀の重要な論文であるアルバート・O・ハーシュマンの『国力と外国貿易の構造』(1945年)は、不均衡な貿易関係のなかで、強大な国はその地位を利用して、弱い立場にある貿易相手国から政治的譲歩を引き出すことができることを実証した。

同様に、1980年代には、デヴィッド・A・ボールドウィンが『エコノミック・ステイトクラフト』において様々な経済的影響力の形態を整理し、制裁、援助、貿易インセンティブが軍事力と同様に威圧的機能を果たすと主張した。

1990年代には、大きな影響力を持つエドワード・ルトワックによる論文で、冷戦後、経済競争が軍事紛争に取って代わり、大国が争う主要な舞台となったとの見解が示された。

多くの人々は長い間、経済的な相互依存は自ずと平和につながると考えていた。しかし、2000年代初頭には、この考えは新たな批判にさらされるようになり、批評家たちは、このような「リベラルな幻想」が経済力の不均衡から生じる摩擦を覆い隠していると主張した。

次ページ「相互依存の武器化」
関連記事
トピックボードAD