自民党総裁選挙で論点にならなかった自由貿易。米中対立の激化でいっそうの危機に瀕している。

9月27日、自民党の新総裁に選ばれ記者会見する石破茂氏。10月1日には第102代首相に選出された (写真:共同通信)
自民党総裁選挙は石破茂氏の逆転勝利で幕を閉じた。
岸田文雄前首相の退陣表明から1カ月余り。総裁候補者たちの公約を読み、主張を聴き、時代の変化を感じた。「経済安全保障」という単語がよく顔を見せたのだ。
石破氏はあまり語らなかったが、小林鷹之氏は出馬会見で「経済安保戦略を作る」と強調したし、高市早苗氏も「経済安保の強化、とりわけサイバー防御体制の樹立が重要」と持論を展開していた。
2人とも経済安全保障担当相を務めたので得意分野なのだろうが、小泉進次郎氏も出馬会見で「同盟国との経済安全保障面での連携を拡大・深化」と主張。ここ数年で急速に台頭してきた経済安保の問題は、国のリーダーを決める際の論点にまで成長してきたことを印象づけた。
そのムードはアメリカでより強く、トランプ氏は大統領に返り咲けば、対中MFN(最恵国待遇)を撤廃し中国からの輸入品に60%の関税をかけると公約。日本製鉄のUSスチール買収までもが安全保障を名目に頓挫しかかっている。
「冤罪」を生みやすい経済安保
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