1社独占に終止符?「英仏高速鉄道」大バトルの行方 複数企業が参入表明「ユーロスター」は新車で対抗
ただし、このORRの使用許可とは、
車両そのものに関する懸念もある。現時点で運行認可を取得できているのは、トレニタリアが投入を予定する、日立レール製のフレッチャロッサ・ミッレのみだ。ユーロスターが今回導入を発表した2階建て車両のアヴェリア・ホライズンは、同型車(TGV-M)を導入するフランスでも認可取得できておらず、導入が遅れている。
ジェミニ・トレインズのヴェラロNovoも新たな認可を取得する必要があり、これも蓋を開けてみなければわからない。ヴァージンが投入する予定のペンドリーノはもともと最高時速が250kmの中速車両で、これをベースに時速300km運行できる車両を新たに製造するとなると、相当な時間を要する。
これらを鑑みると、認可を取得して運行可能な車両をきちんと用意できた会社が優位になることが想像できる。
国際列車ならではの課題も
そして、イギリスと欧州大陸を結ぶ列車ならではの大きな課題がある。出入国審査の関係で運用が複雑になる点だ。
イギリスは、欧州のほとんどの国が加盟している、各国間で出入国審査が不要となるシェンゲン協定に加盟していない。このため、イギリスと各国を直通する列車を運行するには、停車駅に制限エリアを設けてほかの列車と明確にホームを分ける必要がある。
最近、ユーロスターが乗り入れを開始したオランダのアムステルダムは、ユーロスターが発着する前後の数時間だけ、駅の一番端に位置する15番線へのアクセスが制限され、不法入国を防止している。しかし、乗客を待合室へ受け入れる時間を含め、前後の時間帯は15番線が封鎖された状態となり、ほかの国内列車の発着に大きな制限がかかる。今後、周辺国へ路線網を拡大する場合、その各駅でも同じような対策が必要になる。
競争による運賃値下げやサービス向上は、利用者からすれば大変歓迎すべきことだ。だが、それを実現するためには多くの課題が残されていると言えよう。
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