1社独占に終止符?「英仏高速鉄道」大バトルの行方 複数企業が参入表明「ユーロスター」は新車で対抗

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これによって鉄道のサービスが大きく変わった例としてイタリアがある。21世紀初頭、イタリア鉄道は高額な運賃と劣悪なサービス、低品質で時間通りに走らない列車に批判が高まり、一時期はほとんどの国際列車が止められるという異常事態に陥った。

だが、12年に参入した新興の民間企業ntvの高速列車「イタロ」によって、状況は大きく変わった。危機感を覚えたイタリア鉄道旅客部門のトレニタリアは、高速列車「フレッチャロッサ」を誕生させ、サービスからダイヤ、価格設定、車両に至るまで全面的に刷新。イタロとの競争は相乗効果を生み、ミラノ―ローマ間の鉄道シェアは9割にまで達し、航空業界に大打撃を与えた。

Frecciarossa 1000 ntv
競争が相乗効果を生み鉄道が見直されたイタリア。トレニタリアの「フレッチャロッサ」(奥)とntvの列車(撮影:橋爪智之)

先述の欧州鉄道満足度ランキングでも、トレニタリアは堂々1位を獲得。勢いに乗り、同社はフランス国内へ進出を果たし、さらにドイツや英仏間など、ヨーロッパ都市間市場へ次々と参入を仕掛けている。

イタリアの鉄道が英仏間に

英仏間の列車運行に名乗りを上げている企業の一つが、そのトレニタリアだ。同社は先に参入を表明していた民間企業のエヴォリンと覚書を交わし、共同で参入を目指す。

また、コロナ禍以降ユーロスターが停車を取りやめている、イギリス南部ケント州のアシュフォード・インターナショナル駅へ列車を停車させ、南部へのアクセスを改善することを明言している。ユーロスターの同駅通過は地元から批判を浴びていたが、トレニタリアが停車を表明したことで称賛の声が上がっている。

車両については、大きな実績がある日立レール製の高速列車「フレッチャロッサ・ミッレ」を投入することが決まっている。欧州各国に対応した同車両は、すでに運行に必要な認可を取得しており、車両面における障壁はクリアしているといえる。

Frecciarossa 1000
欧州各国で運行可能な万能車両「フレッチャロッサ・ミッレ(1000)」(撮影:橋爪智之)
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