これまでも麗澤では、夢プロジェクトという探究活動を行ってきましたが、テーマが決まっていて受け身になりがちでした。
子どもたちは年齢が上がれば上がるほど、これをすれば正解だということキャッチし、先生の期待に応えようとするそうです。
それで良い評価を受けると、また正解探しの悪循環が生まれてしまう。しかし、それでは自ら考える力は身に付かないし、AIの出してきた答えを鵜呑みにする人を育成することになってしまいかねません。
今回の探究ゼミは、生徒の負荷が増えているにもかかわらず、生徒の意欲は高まっているようです。
「本来探究とは、自分が気になって仕方ないことを探す旅路だと思っていますが、生徒たちはちょっとした情報との出会いで目が輝く瞬間があります。そんな生徒の輝く瞬間を見ていくのが教員にとっても喜びです」と瀧村氏。やはりいかに自分ごと化できるかが、探究活動成功のカギのようです。
大切なのは、学びにリアリティがあるかどうか
田中氏は、40年以上研究を続け教育に関わってきて導き出した結論として、「学びにリアリティがあるかどうかが欠かせない」と言います。
生徒にとって意味があるか(Meaningful)。嘘っぽくないか(Authentic)。実感を持って問題を受け止められるか(Personal)。この頭文字をとったMAPの原理が、教育の導きの糸になるのです。
この機会に、現場の先生も、今やっていることが、生徒にとってリアリティのある活動になっているかを見直してみてはいかがでしょうか。
「教育は社会に出るための準備ではなく、循環的相互作用的であるべきだ」と言う田中氏。社会の変化が教育に新たな要求をもたらし、教育が育成した人々が社会を変革し、その変化がまた教育に影響を与える。
この循環的サイクルにより、持続可能で適応的な学習環境が構築され、Well-beingの達成に向けて進むことができるのです。次期学習指導要領の策定も始まっており、その中でWell-beingな社会の実現というキーワードも上がっています。
生成AIの活用が当たり間になった今、人間の知的作業は自動化され、残る人間の価値は多次元で考える思考能力だと言われていますが、それによって人々の共感を呼び起こすような選択ができるかどうかが問われます。
今回の取材を通して、教育の成果は個人にとどまらず、社会のいく末を左右するものになるのだと痛感しました。
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