物価高でも激化する「高速道路と鉄道駅」のグルメイベントが活況のなぜ? 「ハイウェイめし甲子園」「駅弁味の陣」に見たその理由

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昭和百年弁当は、「元気甲斐」「高原野菜とかつの弁当」「牧場の牛めし」「万作弁当」の4種類を一度に味わえるという意味では、夢の駅弁かもしれない。

4種の味が一度に楽しめる、丸政「昭和百年弁当」(筆者撮影)

話を高速道路に戻すと、NEXCO西日本では、東日本の「ハイウェイめし甲子園」に先立つこと1カ月前の9月1日から、「第10回 西イチグルメ決定戦2025『SA・PA肉万博』」と題したグルメイベントを開催している。管内のSA/PAが開発した111種類もの肉グルメのイベントだ。

NEXCO中日本でも、この秋に「推しグルメ」のキャンペーンが行われている。さらに、一般道の休憩施設兼観光拠点である「道の駅」でも、「道-1グランプリ」というコンテスト形式のイベントが行われて、今月上旬に入賞作が発表された。

今やグルメは最大の「集客装置」に

名所や旧跡をまわったり、登山やハイキングを楽しんだりする旧来の観光から、「グルメを味わう旅」がいま、大きくクローズアップされている。

テレビ番組やSNSで、これまで無名だったご当地ならではのローカルグルメの情報が拡散されるようになった背景もあろうし、増加するインバウンドが日本のさまざまな食事処に殺到する様子から知られるようになったことも、一因だろう。

今やグルメは最大の「集客装置」といってもよく、「観光の合い間に急いで食事を掻き込む」旅から、「このメニューを味わう目的でわざわざそこに行く」旅へと劇的に変化している最中だ。

駅弁味の陣の賑わいを見ていると、かつて一部の百貨店で行われていた期間限定の「駅弁大会」(もちろん、こうした催しは今も行われており盛況である)が一年中開かれているような錯覚を引き起こすし、新作メニューを競うSA/PAのありさまは、日常とフェスの境目が希薄になった時代の到来を告げているようでもある。

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日々の食事を節約せざるを得ないほど物価高に苦しむ人々の姿と、1食1000円をはるかに超えて2000円近い価格設定もざらにある駅弁やSA/PAグルメの隆盛が、同じ国で起こっていることなのだろうか……と、ふと考えてしまいつつ、次に何を食べようかと専用サイトのメニューをつい見てしまう自分がいる。

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佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、高崎経済大学特任教授、京都光華女子大学教授を歴任し、現職。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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