日本でいちばん社員満足度が高い会社の非常識な働き方 山本敏行著
著者が代表を務めるEC studioは、リンクアンドモチベーションの組織診断で2年連続「社員満足度が高い会社」として日本一になった。そして2010年に日経ビジネスオンライン、ワールドビジネスサテライトで取り上げられたから、ご存じの人も多いだろう。
本書のタイトルに「非常識」とあるが、なるほど従来の企業常識から逸脱した会社である。オフィスに電話がない、紙がない。顧客に会わない、電話を受けない。コールセンターはなくメールサポートに限定し、20万以上の顧客に対し5名で対応。社員全員にiPhoneを支給し、顧客企業にはPSP3を無償提供してテレビ会議ができるようにする。
一見すると非常識に見えるが、著者の説明を読むと、IT時代にはきわめて合理的であることがわかる。ふつうの企業は仕事を取ってくるためには営業が不可欠だと考えている。どの企業でも営業マンはノルマ達成に追われている。ところがEC studioの形態を取ると、営業マンがいらない。業務スタッフは電話対応する必要がないから仕事に集中できる。
ではどうやって営業しているのかというと、Webだ。Webなら中小企業は大企業と対等に戦うことができる。Webサイトを閲覧する人はほとんどが検索エンジンを介して入ってくる。その検索エンジンからの集客を増やす方法はブログ。ブログに商品やサービスについての思いや開発秘話の記事を継続的に追加し続けていくことによって、ブログ記事内のキーワードが増え、まるで蜘蛛の巣を貼るように検索エンジンからの流入が増えるのだという。
YouTubeも集客に利用している。著者によれば、15分以内の動画が見られるYouTubeは娯楽のイメージが強いが、じつは検索エンジンとしてもGoogleに次いで2位。検索回数が多ければ、その検索から自社サイトに誘導できるということだ。画像やテキストでは表現できないことを動画は伝えることができるので、成約率は高いらしい。