「外部人材の採用」で教育改革を加速、学力調査の結果や生徒指導困難校に表れた変化とは?生駒市と加賀市の事例に見る≪メリットと課題≫
市内の学校の支援について、若松氏はこう話す。
「私自身、子ども主体の授業を実践してきた中で多くの失敗経験があるので、先生の悩みに応じて対応策を一緒に考えています。研究主任や管理職の相談にも乗りながら、教育大綱の実現に向けて共に進んでいるところです」(若松氏)
杉山氏は、若松氏の働きによって「教員が前向きに授業改善に取り組むようになり、雰囲気がガラッと変わった」と手応えを語り、次のように続ける。
「一般的な指導主事が行うような『指導・助言』というよりも、共に悩みながら学校の課題を引き出す若松さんの姿勢は、教員たちから信頼されています。教育大綱に基づき各学校のビジョンを問うところから対話を始め、学校と市教委をつなぐハブの役割も果たしてもらっています。その結果、教育大綱の方向性を共有しながら授業改善に取り組む学校が、着任5カ月で確実に増えてきています」(杉山氏)
プロパー職員を「バディ」として配置する理由
しかし、外部人材が公務員の文化に戸惑ったり、受け入れる側が外部人材を警戒したりするなど、外部人材の登用には課題もある。そこで生駒市では、外部人材がスムーズに組織になじめるよう、行政事務に精通したプロパー職員を「バディ」のようなポジションで配置し、協働をサポートしている。
「高い専門性を持つ外部人材に、事務仕事をどこまで担っていただくかはよく考えなければなりません。受け入れる側としては、お互いの強みを生かして役割分担をし、コミュニケーションを円滑にできる雰囲気や場づくりを意識しています」(佐竹氏)
生駒市は教育大綱を実現する人材確保のため、2026年度には市費での正規教員の採用を予定している。市費での正規教員の採用は神奈川県鎌倉市でも実施されており、外部人材への期待は高い。また今後は、指導主事を育てる形で「伴走型支援者」の内部育成にも取り組むという。


















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