「外部人材の採用」で教育改革を加速、学力調査の結果や生徒指導困難校に表れた変化とは?生駒市と加賀市の事例に見る≪メリットと課題≫
教育ビジョン「Be the Player」を掲げ、子どもが主役の授業やSTEAMプログラムを推進してきた石川県加賀市もまた、外部人材の登用によって教育改革を加速させている。
小林湧氏は民間企業の経験もある元教員で、総務省の「地域プロジェクトマネージャー」制度を活用した加賀市の公募に自ら手を挙げ、2022年度に教育長を補佐する役割として入庁した。
同制度は、地方自治体が専門人材を迎える際に1人あたり3年間を上限として特別交付税措置を講じるもので、小林氏は3年が経過した2025年度からは教育委員会事務局長となって引き続き教育改革に従事している。
2022年度より伴走型支援を続ける小林氏は、教員一人ひとりの相談に乗ったり、一緒に授業に入ったりと、各校のニーズに応じた支援を行っている。4000本を超える授業づくりに伴走してきたが、いずれも「アドバイスをするのではなく、教員の主体性を引き出しながら一緒に考える」スタンスを取っているそうだ。
「当初は『正しい型を教えてくれ』という要望も多かったのですが、『先生は何がしたいんでしたっけ?』と問い直す姿勢を大切にしています。教育改革は、0から1を目指すフェーズでは『これをやりたい』という思いが強い人がいたほうがよいですが、1から10を目指すフェーズでは、地域で求められていることを丁寧に聞き出して先生方と一緒に学んでいける人材が求められるように思います」(小林氏)
「伸ばす授業」で生徒指導困難校にも変化
同教委の北市康徳氏は、現場の変化について次のように語る。
「教員の主体性を引き出しながら伴走型支援をする人が学校現場に入ったことで教員たちの気持ちが変わったと感じています。『一人ひとりを伸ばす授業』に変わる中で、子どもたちが学びに向き合うようになった生徒指導困難校もあります」
加賀市では小林氏以外にも、2023年度に教育推進プロジェクトマネージャー2名(伴走型支援担当、学校と外部のコーディネート担当)と教育委員会政策官1名を市費で採用。さらに2025年度にはDX化や校務改善を担当する教育推進プロジェクトサポーター1名も採用した。


















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