「高専発スタートアップ」が続々と誕生!国・自治体・企業も熱視線、なぜ国立高専で起業の道を選ぶ学生が増えているのか?

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高専発のスタートアップが増えているのは、高校とも大学とも違った高専の成り立ちや教育内容が関係しているようだ。

高専は、日本のものづくりを支える早期技術者を育てるために設立された5年制(専攻科まで進めば7年間)の高等教育機関。1962年に初の国立高専が開校し、現在は全国に51の国立高専、3つの公立高専、4つの私立高専がある。

国立高専機構本部事務局研究総括参事の松本佳久氏は、次のように語る。

「若いうちから高度なスキルと課題解決能力を身に付ける“人財”を育成する高専は、日本独自のシステムであり、卒業生の多くが技術力を武器にさまざまな企業に就職していきました。

しかし、企業の中で事業転換や新規事業創出などが重要視されるようになった30年ほど前からイノベーション人材のニーズが高まり、国立高専のカリキュラムも変わってきました」

PBLを早くから導入、教員の起業も増加

カリキュラムの変化について、国立高専機構学務課教務係の細田菜津子氏はこう説明する。

「もともと高専は社会の要請によって誕生しましたが、教育内容も社会の変化に合わせて変えてきました。アントレプレナーシップ教育は2010年代頃には高専で認知されており、PBL(課題解決型学習)を取り入れるなど、より社会実装を意識した教育を行うようになったのです」

さらに国立高専機構では2017年度より、教育の質を保障するためのモデルコアカリキュラム(MCC)を定めている。

MCCとは、主に各科目を通して修得する知識・技能に関するミニマムスタンダード「コア」と、カリキュラム全体を通して修得を図る汎用的技能や態度・志向性、創造性・デザイン能力に関するミニマムスタンダード「モデル」を提示したもので、各高専ではこのMCCをベースにカリキュラム編成が行われている。

「今年3月に文部科学省が大学等におけるアントレプレナーシップ教育の指針『日本版EntreComp v1ガイド』を公表しましたが、それとMCCを照らし合わせても重なる部分は多く、国立高専が以前からアントレプレナーシップ教育に取り組んできたことがわかると思います」と細田氏は言う。

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