「カリスマ池田大作氏なき公明党」が下した"原点回帰"の決断、その波紋がもたらす《政界再編含み》の3つの政局シナリオ

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ここに至って、両党の連立に“きしみ”が生じ始めた。そして今夏の参院選でも自公両党は敗退。石破茂首相(自民党総裁)は退陣に追い込まれた。

公明党にとっては、最大の支持母体である創価学会が国政選挙でフル稼働してきたにもかかわらず、自民党の裏金問題のあおりを受けて敗北したことに危機感が募っていた。加えて、創価学会には複雑な事情もある。

公明党・創価学会の使命は、公明党の設立者でもある池田大作名誉会長を守ることだった。そのために、かつては池田氏の国会喚問などを要求した自民党と激しく対決。自民党との連立に踏み出せば、池田氏への攻撃は収まるという判断も働いていた。

しかし、創価学会最大のカリスマである池田氏は23年11月に死去。当時、公明党の元衆院議員は「池田さんのために政治活動を続けてきたが、亡くなったことで力が抜けてしまった」と語っていた。

「池田親衛隊」の役割がなくなれば、公明党が原点としてきた「平和」「福祉」「政治倫理」を前面に打ち出すことができる。公明党・創価学会の内部にそうした思いが広がる中で、自民党の高市総裁が誕生したのである。

最後まで尾を引いた「政治とカネ」

斉藤鉄夫
自公党首会談に向かう公明党の斉藤鉄夫代表(写真:時事)

自公の連立協議はすんなり進むとみられていたが、公明党の斉藤代表は高市総裁に対し、連立に向けて次の3点を明確にするよう要求した。①歴史認識と靖国神社参拝、②外国人との共生のあり方、③政治とカネをめぐる規制強化である。

高市氏側は、①については「先の戦争への反省を明確にして近隣諸国の思いへも十分配慮する」、②については「日本に住む外国人には法令順守を求めるとともに共生に向けた態勢づくりを進める」などと回答。公明党側は一定の評価を示した。

しかし、政治とカネの問題では、自公の歩み寄りが見られなかった。

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