まさかの《自公連立崩壊》を招いた"真犯人"は誰か? 「萩生田氏を抜擢したのが間違い」との指摘は間違いかもしれない

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ところが、今回の政策協定は衆参両院で自公は過半数を維持できない状態で、与党の地位すら危うくなっており、与党でいたい公明党を引き寄せる要素はほとんどない。しかも、支持母体である創価学会から「連立離脱」の圧力がのしかかった。

そもそも以前から同党内部からは「自民党との選挙協力は割に合わない」という批判の声が上がっていた。衆院小選挙区での候補擁立は、自民党のほうがはるかに多いからだ。その“見返り”が与党の地位と国土交通相のポストだが、自民党候補に尽くすエネルギ―に比べたら、少ない報酬といえるだろう。

しかも、党勢は年々衰えつつある。24年の衆院選比例区での得票は596万4415票で、とうとう600万票を割り込んだ。だから公明党は「政治とカネ」の問題を一向に解決しようとしない自民党と組んでいても、先細るだけだと判断したのだろう。

高市・玉木会談の先行でも心証が悪化

玉木雄一郎
公明党との会談に先駆けて、高市総裁が国民民主党の玉木代表と会談したことも、公明党の心証を悪くしたようだ(写真:ブルームバーグ)

なおかつ、自公で政策協定を結ぶ前に、高市氏は国民民主党の玉木雄一郎代表に面会。高市氏は自公連立を「1丁目1番地」と発言してきたが、「連立の拡大か」と話題になった。

しかし、自自公連立から00年に自由党が離脱した例を見るまでもなく、3党連立となれば後から合流した政党の立場が強くなりやすく、公明党の立場は弱くなる。

自公連立の離脱を宣言した公明党は、さっそく野党協議への参加に意欲を見せている。また、自民党とすみ分けしてきた小選挙区の一部からの撤退についても検討し始めた。

一方で自民党は、公明党の候補が立つ選挙区に“刺客”を送り込むことを検討。公明党の離反により岩盤保守層が戻ってくることを期待するが、これまで得てきた公明票より多くの票を、自民党が獲得できるかどうか。安倍政権に象徴される「一強多弱」時代は終わり、群雄割拠時代が始まるのかもしれない。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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