「警視庁捜査2課のキダといいます」最近急増する"捜査をかたる電話"の正体…まともに答えてみたらどうなる?

10月のある日、記者の携帯電話に突然、見知らぬ番号から電話がかかってきました。番号の末尾は「110」です。
かつて大手新聞社で、某県の警察担当だったときは、毎日、県内の警察署に電話をかけまくる生活を送っていました。
その習慣から、パブロフの犬のように「110」に反応してしまい、疑うことなく電話に出てしまいました。
「警視庁捜査2課のキダといいます」
電話口の男性は、ベテラン声優のような落ち着いた声で名乗りました。しかし、この“警察官”を名乗る人物は、思いもよらぬことを言い出したのです──。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)
「M資金」詐欺に巻き込まれそうになった父
警視庁捜査2課といえば、詐欺や贈収賄など「知能犯事件」を扱う部署。瞬時に「何かの詐欺事件に巻き込まれたのか」と思いました。
実は、プライベートで捜査2課の電話を受けたことがあるのです。大学生のころ、刑事から「私の父と親交のあった投資家が詐欺師だった」と知らされました。
その投資家は自宅にも来たことがありました。古びた封筒をテーブルの上に出し、父に見せていたのを覚えています。
当時、家族は「あの人はとんでもないお金持ちで、GHQが日本から接収した資金を隠して持っているらしい」と話しており、私は「徳川埋蔵金みたいな話だな」と半信半疑でした。