次期首相は右派ポピュリズムへの対応を迫られる、離反した「右寄りの有権者」の支持を取り戻すことはできるか
政府は、外国人に関する規制を強化する動きを見せており、日本で起業する外国人向け在留資格の取得に必要な資本金の要件を現行の500万円以上から3000万円以上に引き上げる方針だ。外国の運転免許証を日本の免許に切り替える外免切替の制度が厳格化されたほか、博士課程の学生に対する支援制度を見直し、生活費支給対象から留学生を外し日本人に限定する方針だ。
参政党の支持者の中には、同党が排外主義的とみなされることに反発を覚える人もいる。製造業に従事し、参政党に投票した小林英介さん(39)は、多くの外国人が長年、出稼ぎ労働者として日本に来て懸命に働いてきたのは「すごい良い」ことだとした上で、「急激に入れすぎていることにより、質の悪い外国人が増えすぎているのが問題だと思っており、そこについての規制が必要」だと語った。
労働力人口増加に大きく寄与
日本に来た外国人は、単に働いているだけでなく、製造業や介護など多くの不可欠な仕事に就いている。少子高齢化と人口減少が進む中で、外国人労働者は深刻な労働力不足を補う重要な担い手となっている。日本銀行の植田和男総裁は講演で、労働力人口に占める外国人労働者の比率は3%程度にとどまっているものの、23年から24年にかけての労働力人口の増加率に対する外国人労働者の寄与度は50%を超えていると指摘している。
高齢化問題は日本経済の足かせにもなっており、参政党の支持者らはこの問題に対する連立与党の対応能力に信頼を失っている。小林さんは、「今まで30年間、日本の経済は低迷し続けている」と指摘。その大半の期間で、「自民党がずっと政権を担っていた」と語った。
成蹊大学の伊藤教授は、参政党を含む小規模政党の人気の高まりは、人々が劇的な変化を求めていることを示唆していると指摘。新興勢力の支持者も「税金を取られたくないことは一緒だが、その後の社会のイメージが小さな政府なのか、大きな政府なのか全然違っていて、そういう意味では変革の先の方向性が誰もイメージできてない」と述べた。
年配の男性が多くを占める日本の政界にあって、参政党の若々しさや鮮やかなオレンジ色の選挙カラー、SNSを駆使した活動スタイルは、変革を求める有権者の注目を集めている。東京で事業を営む井上浩一さん(53)は、「日本人ファースト」のスローガンを掲げる「参政党が日本を変えるということまでは思っていない」と語る。井上さんは参政党を支持しているが、政権運営に必要な知見や影響力を持つ唯一の政党は今後も自民党であり続けるだろうと述べた。
著者:村上さくら、照喜納明美
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