「これじゃ石破首相のままでよかったんじゃないか」、自民党総裁選が示す《堕ちるところまで堕ちた》政党の末路

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そして最大の問題は、選挙のあり方を歪めかねない不祥事の発生だ。9月25日発売の『週刊文春』は「自民総裁選 茶番劇の舞台裏 進次郎 証拠メール入手 卑劣ステマを暴く!」と報じ、10月2日発売号でも「進次郎側近が高市派党員を勝手に大量離党させていた!」と、衆院神奈川9区の支部長を務めていた中山展宏前衆院議員が集めた党員のうち826人が6月に離党させられていたことを暴露した。

前者は、小泉選対で広報班の責任者だった牧島かれん元デジタル担当相の事務所から、9月28日に行われたニコニコ動画の討論会に「ポジティブなコメントを書いてほしい」との依頼メールが小泉陣営の関係者約30人に送付された事実を報じたもので、「ステルスマーケティング」だと批判された。そのときに送られた24の例文の中に「ビジネスエセ保守に負けるな」などとタカ派の高市氏を連想させるものが存在し、誹謗中傷ではないかと大騒ぎになった。

これを受けて牧島氏は9月26日、「事務所の判断で参考例として送った」「私の認識不足で、一部行き過ぎた表現が含まれた」との弁明文書を公表。その文面から結果の重大性についておののいていることはうかがえたものの、他人事のような面もあり、責任を感じ取ることはできなかった。

さらに10月2日発売の『週刊新潮』は、「(小泉陣営で事務局長代理の)小林史明衆院議員の事務所スタッフが原案を牧島事務所に送った」という関係者の証言を報道した。同関係者はまた「原案には『ビジネスエセ保守』という言葉以上にキツイ文言が複数含まれていた」と述べている。

「札束が飛び交った時代のほうがまだマシ」

小林史明と牧島かれん
ステマメール騒動の渦中にある小林史明衆院議員(右)と牧島かれん元デジタル担当相(写真:時事)

実はこの『週刊新潮』の発売前、ある関係者が「牧島事務所は小林事務所の指揮下にある」と教えてくれた。そして「ステマ」に関与した秘書の名前を挙げ、「牧島氏には小林事務所から送られた文例を拒否する権限もないし、その気もなかった。今は後悔しているみたいだが、もう遅い」と語気を強めた。

そもそも、誹謗中傷は自民党の総裁公選規定に反するものだ。同規定第12条の3は「選挙期間内において党の名誉を著しく損ねる行為が認められる場合は、党本部管理委員会は党紀委員会の審議の対象として要請することができる」とする。

自民党総裁選挙管理委員会の逢沢一郎委員長は9月29日、「総裁選挙終盤に向けた声明」を公表。「禁止事項に該当する事案や、公選規程に抵触しかねない陣営間の感情的対立を煽る恐れのある事案に対しては、事実関係を確認したうえで、選挙管理委員長から、それぞれの陣営の選挙責任者に対し厳重注意を行った」とした。

異例の声明が出るほど過熱した戦いが当事者間で展開される一方、党内では冒頭で述べたようなシラケムードが漂っている。「これじゃ、札束が飛び交った時代のほうがまだマシだったのではないか」と、自民党のある秘書は皮肉を口にしてため息をついた。

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