高市氏 vs. 小泉氏で一騎打ちムードの自民党総裁選に"割って入る"と永田町で噂される「第3の男」の正体
それを最も意識しているとみられるのは、19日に出馬会見した高市氏だろう。前回の総裁選と同様、「日本列島を、強く豊かに。」と題された高市氏の公約では高市カラーを押し出し、力強くその国家像を説明した。
もっとも、食糧安保やエネルギー・資源安保の強化を強調した前回とは異なり、高市氏は今回の総裁選では物価高対策を優先した。そのために所得税課税限度額を引き上げ、給付付き税額控除制度導入を検討するなど「責任ある積極財政」を提唱した。一方で、「財政健全化を否定したことはない。しかし経済が大事」とバランスを取ることも忘れなかった。
端的にとられないように配慮していることは、その他の分野にも見られた。外国人問題については「排斥主義」とは一線を画すべく、「司令塔を設置し、関連政策(不法滞在者対策、土地取得規制の検討など)を強化する」にとどめた。
首相になっても靖国参拝するのかという記者からの質問に対しても、「私にとって国のために命をささげられた方は大事な存在であり、感謝の気持ちは変わらない」と明言しなかった。
高市氏が「女性の健康問題」を強調するワケ
しかし、それではほかの候補と差別化は困難になる。そこで高市氏が提唱したのが、政調会長時代に取り組んだ「女性の健康問題」だ。

今回の総裁選に出馬する女性候補は高市氏ただ1人。前回の総裁選では、1回目の投票でトップに躍り出た実績がある。衆参で少数与党に堕した自民党が未曾有の苦境にある今こそ、「ガラスの天井」を破るべきときといえる。
自身の経験から訴えるほど共感を得るものはない。高市氏は40代前半から更年期障害が始まり、それが原因と思われる関節リュウマチに罹患した。だが、病名が診断されるまで数年かかり、人工関節を埋め込んだことを打ち明けた。
加えて高市氏は現在、自宅で夫を介護中だ。筆者は数週間前に議員会館で「ご主人の介護、大変ですね」と声をかけたが、高市氏はにっこりと「筋トレだと思って頑張るわ」とガッツポーズで応じた。
だが、議員活動と介護の両立は並大抵なことではない。出馬会見で高市氏が「(女性が)キャリアを諦めなくてもすむような社会を願っています」と述べたとき、多くの女性への呼びかけであるとともに、自身を鼓舞する言葉とも思えた。
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