
スタートアップが抱える課題をM&Aで解決

創業手帳は2014年に大久保幸世氏が創業したスタートアップだ。政府が公表するデータベースなどを基に、起業すると自動的に起業のガイドブック『創業手帳』が届く独自の仕組みを構築した。累計発行部数は250万超。税理士をはじめとする士業や金融機関を無料で紹介する支援なども行い、会員は14万人超にのぼる。
一方、弥生は1978年に創業した、有料会員が100万人を超える会計ソフトの国内最大手。2016年2月にクラウド請求書サービス「Misoca(ミソカ)」を買収するなど、事業領域の拡大にも積極的だ。
2024年10月にはアンダーセン(現アクセンチュア)出身で、Google執行役員・広告事業責任者を務めた武藤健一郎氏が社長兼CEOに就任。2025年4月には「弥生Next」の第2弾商品「弥生会計Next」を正式リリースするなど、アグレッシブに事業を展開している。
武藤氏は今回のM&Aについて、「より強固なパートナーシップのもと、起業家の皆様に対して一層価値のあるサービスを提供できると確信。今後は、弥生が提供する事業支援サービスとの連携を通じて、企業支援から事業成長までを一貫して支援していけるサービス展開を目指す」とコメントした。
両社はなぜM&Aに至ったのか。「弥生は創業当初から広告主として深く関わってきたパートナーであり、会計ソフトのなかでは会員からの引き合いがもっとも多い会社。ならば、メディアとサービスが分かれているより一緒になったほうが、よりユーザーである起業家のためになり、企業価値を引き上げられると判断しました」と大久保氏は振り返る。
これまでの取り引きで双方が事業環境を理解していたことも大きく、「既存取引先とのパートナーシップはリスクを抑えられる」(大久保氏)という。
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