オルツ粉飾巡り個人株主約90人が損賠請求準備、「1人当たりの損失額は最大で2000万円程度、請求総額は約4億円に達する見込み」
――監査法人や主幹事証券の責任も問うのか。
基本的には、法人としてのオルツを相手取る考えだ。ただ、会社の資産が乏しく回収が難しい場合には、不正に関与した経営陣や監査法人のシドーを加える可能性がある。2010年に粉飾決算が発覚した半導体装置メーカーのエフオーアイをめぐる株主訴訟では、監査法人の責任も問われた。
主幹事の大和証券に対しては、IPO(新規株式公開)時に株式を購入した投資家であれば訴えることができる。ただ依頼者の多くはIPO後に購入しており、現時点では、訴訟を起こすのは難しい。東証や上場審査を担う日本取引所自主規制法人の責任を問うことも、法律上の明確な根拠がなく現実的には困難だろう。
――日本の株主救済制度の課題は。
米国では不正が発覚すると株主集団訴訟(クラスアクション)が直ちに起こるため、企業への強い抑止力が働いている。一方、日本ではクラスアクションを証券訴訟に使えず、専門の弁護士事務所も限られており、株主が救済を求める道は極めて狭い。今回のオルツ事件は、市場の信頼性を揺るがすものであり、関係者の責任は厳しく問われるべきだ。
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