伝統的な商業銀行強みにアジア地域で成長を加速--三菱東京UFJ銀行頭取・平野信行
欧州系金融機関がソブリン問題にあえぐ中、日本のメガバンクとすれば海外展開を進めるチャンス。一方、基盤の国内には資金需要低迷という課題が残る。好機をいかに次の成長へと結び付けられるか。この4月から三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の中核である三菱東京UFJ銀行のトップに就任した平野信行頭取に聞いた。
──トップ交代の発表会見では、MUFGとしての存在感が高まっていると話されました。
リーマンショックと欧州債務危機には、実は、共通した面がある。前者は実需を伴わない金融ビジネスという色彩が強く、投資銀行の過剰なリスクテイクが破綻を招いた。後者はEUの制度自体の問題が指摘されているとおりだが、過度な信用膨張があって域内の問題が噴出した。
こうしたことから、金融機関は経済・社会の持続的な成長に対し、強固な礎でなければならないと実感した。そして、長期的な関係をベースに実需やニーズに即したサービスを提供する伝統的な商業銀行モデルがあらためて脚光を浴びている。まさにそこがわれわれの強みの源泉だ。
──リーマンショック後の国際規制の強化もあり、成長戦略の舵取りが難しくなってはいませんか。
リーマン後、高いレバレッジを利かせた投資銀行業の一部が見直されている。ただ、M&Aのアドバイザリー業務や引受業務など、投資銀行のコアな部分は今後も重要だ。そうした本来の投資銀行業務に強みを持つモルガン・スタンレーと戦略的な提携関係を結んでいる。われわれ自身は日本を基盤にグローバルな商業銀行業務を徹底的にやっていく。