横浜地下鉄ブルーライン「延伸」恩恵あるのは誰か 開業に向け「少しずつ前進」何がどこまで進んだ?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

こうして見ると、今回のブルーライン延伸は「広域的な交通利便性の向上」よりも「新駅設置による(中間エリアの)利便性の向上」の効果のほうが大きいように思われる。だが、バス路線の再編を併行してきちんと行わないと、バスとの需要の奪い合いになる可能性がある。結局、どれくらいの需要が喚起されるのか読みづらいところだ。

ブルーライン延伸 すすき野2丁目 東急バス
すすき野2丁目。団地が建ち並ぶこの付近にも駅ができる予定だ(筆者撮影)

では、この延伸区間の建設費は、実際にはどれくらいかかるのか。横浜市のホームページには概算事業費「約1720億円」とあるが、この数字は2019年の事業化判断時のものだ。

現段階で事業費をどれくらいに見積もっているのか、横浜市交通局に聞くと「昨今の物価高騰を受けて、事業費の見直しを行っている。建設コストの削減に取り組むなど事業費を精査している段階であり、現時点で事業費は確定していない」との回答だった。

これはあくまでも筆者の予想だが、当初1810億円と見込まれていた「中野サンプラザ」(東京都中野区)跡地の再開発事業費が2024年1月時点で2639億円、さらに同年末時点で3500億円余と倍近くまで膨れ上がったことからすれば、ブルーライン延伸もやはり倍額(3500億円)近くになると想定すべきか。

莫大な費用がかかる地下鉄建設

東京の臨海地下鉄新線(東京―有明・東京ビッグサイト間)の事例も参考になりそうだ。同路線の距離は6.1kmとブルーライン延伸区間とほぼ同じだが、2022年に都が公表した事業計画案によれば建設費は約4200億~5100億円にものぼる。

臨海地下鉄新線は途中駅が5駅とブルーライン延伸区間よりも多く、また地下鉄は道路など公共用地の下を通すといえども、一部は民有地を通す必要があることから、その分の用地費も見込まなければならず、東京都心の地価を考えれば単純比較はできない。

それにしても現在、地下鉄を建設するには驚くべき費用がかかるのだ。2000年に目黒―赤羽岩淵間の現区間が全線開業した東京メトロ南北線の総工費が21.3kmで約5900億円だったのと比較すると、1kmあたりの工事費は3倍近くにも膨れ上がっていることになる。

この記事の画像を見る(16枚)
次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事