横浜地下鉄ブルーライン「延伸」恩恵あるのは誰か 開業に向け「少しずつ前進」何がどこまで進んだ?
わずか8分の短縮ながら「乗り換えなし」の恩恵は大きいようにも思われるが、地下ホームへ下りる手間や時間を考慮すると、大差ないのではないかとも思われる。また、小田急線沿線でも鶴川など町田寄りの住民であれば、横浜線経由のほうが速いだろうし、登戸など東京寄りの住民であれば東京駅に出るのも時間的に大差がない。そう考えると新横浜駅へのアクセス改善という意味でブルーライン延伸の恩恵を受けるのは、ごく限られた人たちなのではないかとの疑問が湧く。

横浜駅周辺など横浜都心部へのアクセス改善という意味では恩恵がありそうだが、小田急線沿線に住んでいて、ちょっとした買い物をしようという場合、普通は新宿か町田へ出かけるだろう。また、横浜市営地下鉄は、現在インバウンドの利用が伸びているようだが、今回の延伸区間は、インバウンド需要はあまり見込めそうにない。
沿線住民はどのくらい利用する?
次に「沿線地域の活性化」という観点から見てみよう。ブルーライン延伸は、あざみ野駅―新百合ヶ丘駅間の延伸予定区間の住民の利便性向上にどれくらい資するのだろうか。
同エリアにはあざみ野、すすき野、虹ヶ丘などの団地・住宅地があるが、「鉄道空白地帯」である。だが、あざみ野駅―新百合ヶ丘駅間を結ぶ小田急バス「新23系統」が朝夕は1時間に5~6本、日中は4本走るほか、あざみ野駅からすすき野・虹ヶ丘団地方面を結ぶ東急バス、新百合ヶ丘駅から小田急バス、川崎市営バスが多系統運行されている。

バス路線が非常に充実したエリアであり、地下鉄開業後に中間駅とこれらのバス路線を再編した上で結節させれば、フィーダーバス的な利便性の向上が期待できそうである。
では、このエリアではブルーライン延伸に具体的にどのような需要が見込まれるのだろうか。2020年に横浜市が延伸地域の住民を対象に実施したアンケート結果を見てみよう(対象5000世帯、回収率39.9%)。横浜市が実施しているので、川崎市側の住民の声が反映されていないものの、参考にはなる。
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