【グローバル人事の「目」】駐在員早期育成の最前線《2》--たった2日で経営感覚をつかむ裏ワザ
◆日本でも経験してない経営を「異国の地」で求められる
「赴任前より高いポジションを担うのに、どうしても日本で経験した部門や職位の観点から見てしまい、期待する役割を果たしてくれない」
組織規模が大きくなるほど各自の仕事が細分・専門化され、社員1人ひとりの視野が狭まってきているが、赴任先では派遣前より高い役割を担ううえに、経営感覚が求められるために大きなスキルギャップが生まれる。加えて、拠点の役割や歴史的背景(M&Aか自前か)によって、派遣者への期待が大きく異なることがスキルギャップに拍車をかけている。
◆短期間で経営感覚を持たせるアプローチとは?
経営感覚を養うにはMBAスキルが必要と一般的に考えられている。間違いではないが、赴任前は時間がなく実務を通常どおり行うため学習に割ける時間が限られている。MBAはケース実習を多数行いながら経営感覚を身に付けていくので時間が足りない。
そこで、ある特定の機能に専門化してきた自分の視野の狭さに気づかせ、会社全体の中でバリューチェーンがどのようにつながるか理解させ、全社的視点で物事を見ることを強く意識させるようにする。
では何をすればいいのか? 実は経営シミュレーション研修が有効だ。
◆経営シミュレーション研修とは?
ここで言う経営シミュレーションはWebや携帯等でできる一人遊びのゲームではない。
参加者数名でグル-プを作り、そのグループ単位を1つの会社とし、その意思決定に沿って変化するマーケット状況を読み、会社間で競争を行う。