【産業天気図・銀行業】消費者金融関連損消え、金利上昇で2メガバンクが最終増益。「晴れ」見通し

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07年度は総じて「晴れ」を予想している。金利上昇でトップライン(業務粗利益)が増加し、経費増を吸収。前期計上した消費者金融関連の損失も消え、みずほフィナンシャルグループ<8411.東証>、三井住友フィナンシャル・グループ<8316.東証>が連結最終増益。三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.東証>も最終減益とはいえ、8000億円と高水準の最終利益を見込んでいる。
 収益の牽引役になるのは、資金利益だ。国内の大手優良企業向け貸し出しは、前期に引き続き伸び悩むが、アジアを中心とした海外向け貸し出し、個人向け、中堅・中小企業向け貸し出しが伸びる見通し。06年度のゼロ金利解除を受け、各メガバンクとも預貸金利回り差(預金金利と貸出金利の差)の改善傾向が顕著になっている。前期1300億円の債券売却損を計上した三井住友は、市場営業部門収益(いわゆるディーリング収益)が回復することを見込んでいる。
 投資信託などの運用商品販売や投資銀行業務など、手数料収入については三菱UFJが「若干増」としている一方、みずほ、三井住友は好調に推移するとみている。
 長らく抑えられてきた経費は、「戦略的経費」をしっかり使っていく方向へ明確にシフトしている。主な費目としてはシステム、店舗、それに人件費。経費全体では、対前年度比で三菱UFJは900億円、みずほは310億円(傘下3行合算ベース)、三井住友は約600億円(三井住友銀行単体)のそれぞれ増加を見込んでいる。海外での貸し出しの伸びが顕著であることから、中国など海外拠点を相次ぎ新設する動きも出ている。
 不良債権比率(金融再生法ベース)は06年度末時点で大手3行とも1%台と問題にならない水準まで低下し、与信費用が収益に与える影響は軽微になっている。三菱UFJは2行合算ベースで1500億円の見込み。前期の404億円と比べて増えるが、貸出金(平残、2行合算)対比でほぼ0.2%と、巡航速度といえる水準。前期400億円の与信費用を計上したみずほは今期は半分の200億円の見込み。三井住友は900億円(三井住友銀行単体ベース)でほぼ横ばいを見込んでいる。
 前期、各行の業績の足を引っ張った消費者金融部門の関連損(三菱UFJで1300億円、三井住友で1100億円、みずほで約4000億円の損失を計上)については、今期追加の費用は発生しないという前提を置いている。
 なお、三菱UFJが1万1000円から1万4000円へ、みずほ、三井住友がそれぞれ7000円から1万円へ各社とも増配の意向を示している。
【山田徹也記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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