再燃する2007年問題、先送りされた技能伝承、早急に対策実施が必要

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だが、こういった仕組み作りは最初の一歩にすぎない。技術は絶えず進化し続けている。現時点での水準のままで止まってしまっては意味がない。最新技術に絶えずキャッチアップし、ミスがあればそこから学び、成果を共有する、といった継続的な取り組みが必要となる。

前出の野中氏は、「技能伝承に成功した中堅企業では、毎月社長自ら技能伝承プロジェクトの進捗状況を確認する。それによって、チーム同士が相互に教え合う環境を意図的に作り出している」と言う。

また、ミスが生じた場合、責任を追及するのではなく、なぜ起きたのか、原因とプロセスの追究に時間をかける。ミスを繰り返さないようにすることのほうが、責任追及よりも重要であるからだ。

だがこの場合、抵抗勢力となるのが管理職や役員だ。任期中にミスが発生したり、新しいことをやってコストがかさめば減点になるからだ。全社の取り組みとすること、また短期的な成果が出なくても減点がつかないような仕組みにしておくことは、スムーズな伝承進行のために、ぜひとも必要だ。

とはいえ中堅企業では、費用だけでなく人材の面からも、専任部署を置くことはなかなか難しい。広島市では市の補助を受け、NPO法人ATAC(アタック)ひろしまが、技術・技能者を登録し、中小企業に派遣して技能伝承の指導をするなど、地域のモノづくり技能伝承支援を行っている。経済産業省も昨年から、モノづくり指導者養成支援事業に乗り出している。動きはまだ始まったばかりだが、徐々に全国に広がりつつある。こうした外部の支援組織や人材を積極的に活用し、早急に対策を打つことが肝要だ。

(シニアライター:小長洋子 =週刊東洋経済2012年4月7日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。写真はイメージです。本文とは関係ありません。撮影:天田輔

 

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