【50年以上前のビンテージ輸入バイク、2200万円でも納得の理由】ドゥカティが誇る名車、1974年式「750スーパースポーツ」の持つ歴史的価値

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1974年式「750スーパースポーツ」のリアビュー
1974年式「750スーパースポーツ」のリアビュー(筆者撮影)

登場の背景には、1972年に開催された「イモラ200マイル」という地元イタリアの耐久レースで、ドゥカティのワークスマシンが優勝したことに起因する。アメリカで大人気を誇る「デイトナ200マイル」の欧州版として開催されたこのレースには、多くの2輪メーカーが参戦。同じイタリアのMVアグスタやドイツのBMWなどの欧州勢、それに日本からもホンダやヤマハ、カワサキといった世界の強豪メーカーが参加を表明し、激戦が予想された。一方、当時のドゥカティは、このレースのような市販の大排気量バイクをベースとしたマシンで競うプロダクションレースであまり実績がなく、レース前の下馬評で優勝を予想する人は少なかったという。

そんななか、なんとか勝ちを手中にしたいドゥカティは、750ccのニューマシン4台をレースに投入。「750GT」という市販車をベースとしたドゥカティ初のビッグバイクレーサーだ。そのうちの1台、当時のレーシングライダーであるポール・スマート氏が駆るバイクが、大半の予想を覆し見事に優勝。この勝利を記念し、優勝マシンのレプリカとして1974年にわずか400台を発売したのが初代750SSなのだ。

750SSの特徴

1974年式「750スーパースポーツ」のエンジン
1974年式「750スーパースポーツ」のエンジン(筆者撮影)

通称「イモラレプリカ」と呼ばれるのがこのモデル。大きな特徴は、Lツインと称される90度2気筒エンジンの採用だ。このモデルの排気量は750cc(748cc)だが、後に900cc(869cc)版も登場。愛好家の間で「空冷Lツイン」の愛称で呼ばれる当時のドゥカティ車で定番だったパワートレインを搭載した。

また、現在でもドゥカティが市販車からレーシングマシンまで幅広く採用する「デスモドロミック」という機構も搭載。これは、4ストロークエンジンの出力特性のカギとなる吸・排気バルブの制御を、一般的なバルブスプリングに頼らず、カムシャフトによって行うシステムだ。古くはメルセデス・ベンツが1930年代にレーシングカーに使用したともいわれる機構で、昔から2輪車だけでなく4輪車にも使われていたものだ。

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