参院選の与党大敗で自民党内からは「スリーアウト・チェンジ」の声、それでも《石破降ろし》が一向に本格化しない"不可思議"の深層

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石破首相は「(連立拡大については)現時点で考えてはいないが、他党と真摯に議論したい」と野党との協議に前向きに取り組む姿勢を強調。その一方、党内人事については「いまは考えていない」としながら、9月末の党役員の任期切れの時点で検討する意向を示唆した。

こうした会見内容について、自民党内では「このままダラダラと石破政権が続いたら、自民党は本当に国民から見離され、2度と立ち上がれなくなる」との声が少なくない。

ただ、党則に規定された「所属議員と都道府県代表の過半数の要求」で総裁選を実施しても、当選した新総裁が衆院での首相指名で選ばれる保証はない。これが反石破勢力の動きを抑える状況ともなりつつある。

「秋以降はいつ命運が尽きてもおかしくない」

その一方、石破首相が改めて会見で、昨年暮れ以降続けてきた政策ごとの一部野党との連携を模索する考えを示したことについては、自民党幹部の多くが「今回の参院選結果を踏まえれば、自公政権にすり寄る野党はいない」と指摘する。

そうした状況が続けば「自民が公約した『国民1人当たり2万円の現金給付』も、それを盛り込んだ補正予算案に野党が反対すれば実現しない」(自民党税制調査会幹部)ことになりかねない。

このため、今秋の開催が見込まれる臨時国会も「現状の衆参少数与党では、予算も含めて政策決定はすべて野党次第」(同)となる可能性が大きい。しかも、政策決定をめぐる与野党の対立が激化すれば、野党が内閣不信任決議案を提出し、解散か総辞職かを迫られる事態も想定される。

「秋以降はいつ石破政権の命運が尽きても不思議ではない」(自民党長老)という緊迫した政局が続くことは間違いなさそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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