応募殺到!9割が不登校経験者の「都立立川緑高校」、8割の生徒が毎日登校する理由 「学校に来よう。授業に出よう」の真意とは?

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1年次1部生の時間割例
(写真:東京都立立川緑高等学校の学校案内より)

「自身のペースで卒業できる体制も整えています。現状、半数以上の生徒が4年間での卒業を目指していますが、単位修得の仕方しだいで3年間での卒業も可能。2~4年生では必履修科目の再履修もできるので何度でもチャレンジできます。高卒認定試験に合格すれば、その単位も卒業単位として認めています。大切なのは、生徒自身が選び取ること。自己決定こそが自立の第一歩です。ちなみに自身の判断でTPOに合った服装ができるようになってほしいので、制服もなしでスタートしました」

生徒の65%が希望する「人気の授業」とは?

取材当日、デザイン実習室で行われていたのは「ゲーム概論」の授業だ。生徒たちは3〜4人ずつのグループを作って一緒にゲームを行っていた。

ゲーム概論の授業

「これは探究学習の一環です。『なぜこのゲームが面白いのか』を分析したり、みんなが楽しめるルールを作ったり、攻略の戦略を立てて本当にうまくいくのかを検証したりと、チームでの協働、そしてアウトプットを大切にしています」

開校時、学校側はこの「ゲーム概論」に人気が集中すると予想していたが、蓋を開けてみると、生徒の65%が履修を希望した一番人気の科目は「わかる数学」だったという。これは学び直しを目的としており、1人1台端末やプリントを使った自由進度学習を行っている。

「当初の想定より希望が多かったため、急遽、講座を増やしました。実は、『わかる数学』は『ゲーム概論』と同じ時間なので、泣く泣く『ゲーム概論』を諦めた生徒も多いはず。それほど生徒たちは『遅れを取り戻したい』『学び直したい』という思いが強いのだと思います。英語にも学び直しの授業があり、そちらも生徒の約60%が受講しています」

「インターンシップ」や「ボランティア」なども単位に

社会参加を後押しする同校では、インターンシップも単位として認定される。

「インターンシップの受け入れ先として、地元の事業者が10社ほど手を挙げてくださいました。当初51名の生徒が応募しましたが、あくまでもまずは授業と学校生活が優先ということで意思確認を行い、今年度は最終的に25名の生徒がインターンシップに参加することになりました」

また、ボランティアや社会参加につながるアルバイトも、事前に申請すれば単位として認められるという。

「社会に出れば、思わず傷つくこともたくさんあるでしょう。けれど、本校に在学している間なら、SCやYSWが傷ついた気持ちを受け止めてくれます。だからこそ、生徒たちには在学中に段階を踏んで社会とつながっていってもらえたらと思っています」

生徒たちが学校づくりを担っていくのも同校の大きな特徴だ。例えば、図書室は最低限の本だけ用意する形で開校した。生徒たちに必要とする本を選んでほしいからだ。

図書室の本は、これから図書委員会が中心となり、生徒たちがそろえていく

こうした環境の下、すでに生徒たちは意欲的に活動している。生徒が校歌を作る「みどりの歌プロジェクト」には一期生となる1年生171人中、44人が応募した。また、生徒会長選挙には、11人もの立候補があったという。

部活動でも、学校が用意したバスケットボール部やフットサル部、卓球部などに加え、生徒が作った音楽部、演劇部、ダンス部が活動中だ。3部制の同校には放課後という概念がないため、生徒の空き時間に活動するスタイルとなっている。

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