「ラーメン店主ポーズ」「陰影バチバチのライティング」“参院選の選挙ポスター”が示す《ヤバいプロフィール写真》の避け方
この原理もまた、ビジネスの場面にそのまま当てはまる。たとえば、プロフィール写真が暗かったり、照明が甘かったりすると、「活力が感じられない」「存在感に欠ける」といった印象を持たれるおそれがある。
逆に、顔全体を明るく均一な光で照らすことで、表情がくっきりと伝わり、清潔感や安心感を印象づけることが可能になる。
陰影のある顔写真はスタイリッシュではあるものの、選挙やビジネスのプロフィール写真においては適していないと言える。
さらに、背景の選び方も見逃せない要素だ。
シンプルな背景は、顔や名前、キャッチコピーといった「伝えるべき情報」を視覚的に際立たせる効果がある。背景に複雑な模様や強い色があると、視線が分散し、主役である人物やメッセージの印象が弱まってしまうためだ。
選挙ポスターにおいて、無地やぼかし処理された背景が多く使われているのも、視線を人物や言葉に集中させるための工夫といえる。こうした背景は、文字情報との競合を避けるという点でも有効である。
ビジネスでのプロフィール写真でも、同様の原則が当てはまる。ただしここで重要なのは、背景の「色」そのものが伝えるメッセージに深く関わってくるという点である。
白や淡いグレー、ベージュなどのニュートラルカラーは、清潔感や開放感を与え、幅広い業種で無難かつ安心感のある印象をつくりやすい。反対に、濃いネイビーやボルドーなど重厚な色は、威厳や信頼、伝統的な安定感を印象づける。
注意したいのは、「伝えたい印象と背景色が一致しているかどうか」という点。たとえば、「未来志向」「革新性」「若々しさ」といったキーワードで自らを語りたい場合に、重厚感のある暗色系の背景を選ぶと、視覚的なメッセージとコンセプトに齟齬が生じる。
逆に、堅実さや伝統に基づく信頼を前面に出したい場面で、あまりに軽やかな色や装飾的な背景を使えば、印象の一貫性を損ねかねない。
写真は一瞬で印象を決めるメディアである。伝えたい印象と背景の色が一致しているかーーその視覚的整合性こそが、“伝わる写真”を生むカギである。
「ラーメン店主のポーズ」は注意が必要
相手の目線に対して身体を開くような、顔や首、胸などの急所をしっかりと見せたポーズは、信頼感や安心感を伝え、話しかけやすい人物という印象を与える。
しかし、よくラーメン店主の定番写真となっている“腕組みポーズ”のような、無表情で腕を胸の前で組んだ姿勢は、「防御的」かつ閉ざされた印象と受け取られることが多く、選挙ポスターやビジネスで採用するには、印象戦略の観点から注意が必要だ。

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