「ラーメン店主ポーズ」「陰影バチバチのライティング」“参院選の選挙ポスター”が示す《ヤバいプロフィール写真》の避け方

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まず注目したいのは、「顔の角度」である。

真正面を向いた写真は、誠実さや真摯な姿勢を象徴する。というのも、正面構図は「相手の目をまっすぐ見ている」状態であり、そこには逃げやごまかしの余地がないからだ。

正面から向き合う姿勢は、信頼を生む基本動作の1つであり、「まっすぐ評価を受け入れる覚悟」として映る。

また、「視線の演出」も同様に重要だ。

カメラを正面から見据える視線は、「誠実に向き合いたい」「対話を重視したい」というメッセージにつながる。名刺交換の場でしっかり相手の目を見て話すことが基本とされるのと同じで、視線の正面性は、自分の言葉や立場に責任を持つ人物像を際立たせる。

一方で、顔や身体をやや斜めに向けた構図は、思慮深さや親しみやすさを感じさせる。真正面から少しずらすことで視覚的な余白が生まれ、見る人との間に心地よい距離感が生まれる。またわずかに傾けることでポーズの硬さが取れ、立体感とともに温かみがにじみ出る。

視線の向きは、メッセージをより明確に伝えることもできる。たとえば右上に向けると、想像力やビジョンの広がりを印象づける。左下に目線を落とせば、自己との対話や省察の深さが感じられる。視線のわずかな違いが、理念や未来志向といった価値観を静かに伝えるのである。

注意したいのは、下から煽ったアングルだ。「威圧感」や「支配的な印象」を与える恐れがあるためだ。本人は「力強さ」や「リーダーシップ」を表現したつもりでも、見上げる構図は“上から目線”に通じやすく、特に有権者との距離を縮めたい場面では逆効果だ。

加えて、口角の非対称にも注意したい。「片方だけ上がった笑み」は、無意識に優越感や侮蔑のニュアンスを含んでしまうことがある。表情のわずかな“左右差”が、印象を大きく左右する。

これらは、ビジネス用のプロフィール写真にも応用できる。たとえば、人材紹介や広報・PR、クリエイティブ職など、共感や柔軟なコミュニケーションが求められる職種では、身体をやや斜めに構えた写真のほうが、視線の圧力を和らげ、親しみやすく対話に開かれた印象を与える。

一方で、医師や大手企業の管理職・経営層、金融機関の幹部といった、判断力や信頼性が重視される職種では、正面をまっすぐ見据えた構図のほうが、真摯さや責任感、確固たる意思を感じさせる。写真を通じて「信頼を委ねられる存在」としての印象を明確に伝える点で、より効果的である。

何色の背景を選ぶべきか?

では、照明のあて方はどうすべきか。

明るく均一に照らされた顔写真は、候補者や人物の表情を明瞭に伝え、「透明性」「誠実さ」「信頼感」といった印象を醸し出す。一方、照明が不十分で顔に影ができてしまうと、「暗い」「不信感」「疲れて見える」など、ネガティブな印象につながりやすい。

プロフィール写真
陰影がありすぎる写真も、選挙ポスターやビジネスパーソンのプロフィール写真としては適さない(写真:ほんかお/PIXTA)
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