「ラーメン店主ポーズ」「陰影バチバチのライティング」“参院選の選挙ポスター”が示す《ヤバいプロフィール写真》の避け方

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ただし、すべての腕組みが悪いわけではない。

柔らかな笑顔を伴う腕組みは、自信を感じさせることができ、「頼れそうな人」という印象につながる場合もある。また、やや視線を外し、力を抜いて自然に腕を組んだポーズは、「内省的」「思慮深い」印象を与えることもある。

重要なのは、腕組みが表情や全身の雰囲気と調和しているかどうかだ。笑顔やリラックスした姿勢と組み合わせれば、腕組みも閉鎖的ではなく“安定感”や“落ち着き”を演出するポーズとして活用できる。

「白シャツ×ダークスーツ」の写真が多いワケ

スーツやインナーの色・質感・シルエット、アクセサリーやネクタイといった服装も、印象を大きく左右する非言語メッセージである。たとえば、暗い色味のスーツやネクタイは、安定感や重厚さ、落ち着きといった印象を与え、明るい色味は、柔軟さや親しみやすさ、開放的な雰囲気を演出する。

さらに、色の強さも印象に影響を与える。白シャツ×ダークスーツのような強いコントラストは、輪郭が際立ち、リーダーシップや力強さを印象づけやすい。選挙ポスターの男性候補者にこのような服装が多いのも、リーダーシップをアピールしたいという表れだろう。

政治家
政治家に多い服装にも理由があった(写真:Fast&Slow/PIXTA)

一方で、ベージュ×ライトグレーのような弱いコントラストは、柔和さや協調性、自然体な印象を醸す。

女性の装いにおいて頻繁に用いられるパールのアクセサリーも、粒の大きさや質感によって、繊細さや芯の強さといった印象が変わる。定番のアイテムであっても、その見せ方で伝わるメッセージは異なる。

服装はボディランゲージ同様、自分が「誰に」「何を」伝えたいのかを可視化する戦略的なツールである。その組み合わせ次第で、信頼感・決断力・誠実さ・知性・親しみやすさといったメッセージを、言葉以上に明確に伝えることができるのだ。

プロフィール写真は、たった1枚でその人の仕事観や姿勢を語るメディアである。装いだけでなく、顔の向きや視線の向き、背景にさえ、その人らしさが静かに映し出されている。私たちは気づかぬうちに、日々のあらゆる場面で“無言の選考”を受けているのかもしれない。

だからこそ、どんな写真を選ぶかは、自己紹介の一部であり、仕事へのスタンスを語る手段でもある。時間をかけて言葉を磨くように、1枚の写真にも意図を持たせたい。

安積 陽子 ニューヨーク州立ファッション工科大学主任講師/国際イメージコンサルタント

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あさか ようこ / Yoko Asaka

国際ボディランゲージ協会代表理事。

アメリカ合衆国シカゴ生まれ。ニューヨーク州立大学イメージコンサルティング科卒業後、Protocol School of Washingtonにて国際プロトコール資格を取得。ニューヨークを拠点にエグゼクティブ、政治家、起業家を対象としたイメージコンサルティングを手がける。

現在はニューヨーク州立ファッション工科大学(Fashion Institute of Technology)にてイメージコンサルティングコース主任講師を務め、世界各国の受講生に教育を行っている。政治家、アナウンサー、文化人、実業家に対するイメージ戦略コンサルティングも手がけ、最新のインプレッションマネジメント手法を提供。

企業や医療機関に向けた非言語コミュニケーション・ボディランゲージ研修、イメージ戦略に関するコンサルティングや講演、執筆活動にも幅広く取り組んでいる。

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