「植民地化を回避する外交戦略は?」東大入試で出題された琉球王国の「嘘も方便」な大胆すぎる答えとは

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こうした状況で、あなたならどのような外交戦略を採用しますか。フランス海軍に従えば、琉球王国はフランスの植民地になるかもしれません。

一方で、日本や中国に支援を求めれば、かえって日本や中国の直接統治下に置かれてしまうかもしれません。いずれの外交戦略でも、琉球王国が滅亡するようにすら思えます。

外交はやはり難しいものです。八方塞がりのような国際秩序であっても、国家存続のために知恵をふり絞らなければなりません。東大日本史の問題で問われたのは、まさにこの外交センスであり、具体的な史料から琉球王国の外交戦略を読解することが求められました。

ただ、外交センスは先天的に身に付くものではありません。先人の成功例や失敗例に触れることで、地道に培われていくものです。

今回登場した琉球王国の外交戦略についても、ただ教科書上の出来事として捉えれば、無用の長物になるかもしれません。しかし、当事者意識を持って、当時の琉球王国の人々の思考法を探究すると、大変有益な教訓が得られることがあります。そして、歴史の面白さはこの教訓にこそ凝縮されているのです。

国難を回避した琉球王国の“嘘”

答え合わせをしましょう。

琉球王国が実際に採用した外交戦略は、「フランス海軍に対して『トカラ島』という架空の勢力を信じ込ませる」というものでした。

「トカラ島」という名前を気にする必要はありません。鹿児島のトカラ列島とは無関係の架空の島です。重要なのは、フランスでも日本でも中国でもない、第4の勢力として「トカラ島」を設定したという点です。

簡単に説明するなら、琉球王国の人々はフランス海軍に対して「私たちはトカラ島に依存している。だから私たちと貿易をしたいなら、トカラ島の人々と交渉してくれ」と伝えたわけです。これにより、フランス海軍はトカラ島探しに奔走することになりました。

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