「植民地化を回避する外交戦略は?」東大入試で出題された琉球王国の「嘘も方便」な大胆すぎる答えとは
日本史の神髄を味わえる良問として名高いのは、「東京大学日本史入試2006年第3問」です。これは19世紀における琉球王国の外交戦略に関する問題であり、最も日本史の思考法が鍛えられる良問と言っていいかもしれません。
しかし、これを短時間で理解するには相当な工夫が必要です。そこで本稿では上述の入試問題を改題し、簡易的に東大日本史の問題を体感できるようにしました(なお、本物の問題が見たい人は、ネットで調べたら出てきますのでそちらをご確認いただければと思います)。
問題:琉球王国の外交代表として有事を回避せよ
問題:あなたは、琉球王国の外交代表です。国家存続のため、迫りくる外国軍隊の脅威を回避する方法を検討してください。
時は19世紀前半、琉球王国はいわゆる「日中両属」の状態でした。
日中両属とは、琉球王国が、隣国であった日本と中国の双方に服属していた状態を指します。現在の沖縄県に位置する琉球王国は、地理的な要因から日本と中国の影響下にあり、かつ、軍事的にも経済的にも、劣勢の立場に置かれていました。そのため琉球王国は、日本と中国の外交バランスを絶妙に保つことで、勢力を維持していました。
しかし事態は第3勢力の出現により、急変しました。フランス海軍です。
ヨーロッパ諸国が世界中に勢力を拡大させる中、フランスはアジア貿易の拠点として琉球王国に着目しました。フランス海軍は、琉球王国が日中両属の状態にあるとはいさ知らず、琉球王国の開国と通商条約の締結を求めました。
当時のフランスは、日本や中国を凌駕しうる軍事力および経済力を有していました。フランスの意に逆らうような形で、要求を拒めば、琉球王国の存続に関わるかもしれません。
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