しかし関係者の多くは、声明で述べられた計画の実現性を疑問視している。財新記者の取材に応じた哪吒汽車の社員によれば、同社は5月中旬に臨時株主総会を招集して取締役会を刷新する予定だったが、それさえ実現しなかったという。

哪吒汽車の経営危機をめぐっては、2024年後半から取引先への支払い遅延、部品の供給ストップによる組み立てライン停止、大規模な人員削減などの事実が相次いで明るみに出た。
そんななか、2024年12月には当時のCEOの張勇氏が顧問に退き、創業者で董事長(会長に相当)の方雲舟氏がCEOを兼務して経営立て直しにあたるとしていた。
“社内事件”の動画が流出
方氏は、従業員持ち株制度の導入を含む一連の経営改革の断行を社内向けに表明し、「2025年に粗利益率をプラスに転換する」という目標を掲げた。だがその後も、哪吒汽車の事業実態に改善はみられなかった。

「私を解雇した時、会社は60営業日後に法定補償金(退職金)に加えて賃金1カ月分の割増補償金を支払うと約束した。それをいまだに受け取っていない」。2024年10月と11月に解雇された複数の元従業員は、財新記者の取材に対してそう証言した。
2025年6月11日には、上海市内のオフィスで従業員が方氏を取り囲み、未払い賃金の支給を迫る動画がネット上に流出する“事件”も起きた。
哪吒汽車の負債総額は100億元(約2000億円)近くに上るとされる。混乱が続くなか、同社の再建が滞りなく進む見通しは立っていない。
(財新記者:余聡)
※原文の配信は6月13日
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