やはり人次第!「働き方改革が進む学校」と進まない学校の"校長と教職員"の決定的な差 前例を当たり前として受け止めず話し合って
とくにコンプライアンスの厳しい昨今はさまざまなチェック機能が入ってくる。つまり、事業所が同じ方向で仕事をするよう、また社員満足度を下げないよう、組織が効率的に持続的に運営されるノウハウが必要となる。もちろん、企業がうまく運営できているかというとそうではないところもあるのだが、事業所は予算や人の確保、トラブル予防や何かあったときの対応などは大きな仕組みの中で対処され守られることが基本となる。
そういった視点で見ると、学校の大変さがよくわかる。トラブルへの対応も基本的には学校が行い、学校運営に必要な人材が十分に配置されていないという声はよく聞く。国、都道府県・市町村教育委員会など複数の指示組織があり、各々の機関の各々の担当部署から多くの指示等の連絡が来る。
サポート人材などは、学校現場が探してくることを求められる場合があり、結構なハードルになっている。人材には適正があると思うが、まずは人を、という状況にあるのだ。またICT支援員が配置されていても、ICTに詳しい教職員がその学校にいるかどうかでICTの使い方やトラブル対応に差が出る。また保護者や地域は基本的には学校に対して協力的で、学校を大切で必要な存在として接しているが、時に学校が対応に困る存在にもなる。
児童生徒を教育する使命感をもって、その職に当たる教職員がほとんどであることは言うまでもない。子どものことを思い、どうしたらうまく教えられるのか教職員同士で話し合い、教材の工夫をし、心に残る行事の企画を考えている姿を、この仕事を通して学校に入る機会を得て目の当たりにした。
だからこそ、働きがいのある、続けていける職場となるよう変えていく必要がある。しかし学校個々の運営力が高くないと、多くの依頼等文書への対応、児童生徒の校内外問わず生じる問題、多様な校務分掌、外部との折衝・調整に追われ、教材研究、教職員としての学びの時間の確保や個人としての生活などとのバランスがうまく取れない状況が生じてしまう。
まずは実態把握から、改善活動は教職員の話し合いで決める
私(会社)が学校に支援に入る場合は実態把握に時間をかける。管理職の方々から学校の状況について伺い、教職員にはアンケートをお願いする。手間を増やすと言われるかもしれないが、教職員の仕事に対する意識や言葉にされにくい悩みなどがよく表れ、学校としての課題を把握することに役立つ。また勤務時間のデータによる実態把握や教職員の話も聞きながら学校の現場観察などを行う。
それらを総合的に見た当該校の課題を当社にて整理し、管理職も含めた教職員によるワークショップを行って、まずその内容を伝える。それを聞いたうえで、何を改善するか話し合いをしていただくのだが、自分だけが感じていたことではなく、ほかの教職員も感じていたことに気づき、変えていきたいことをみんなで共有するこのプロセスが最も重要である。改善活動は、教職員自らが取り組むものであり、話し合って決めたことであれば納得感を持って取り組めるからである。
このとき、事務職員もぜひ意見を言っていただきたい。実は改善のカギを事務職員が握っていることがあり、ある意味客観的に学校を見ていて、その学校に合った対策を提案してもらえることが多いうえ、実践の中心として活躍していただけることも多いからだ。
これまで当たり前のようにしてきたことが子どものことを考えても本当に必要なのか、時間投入の実態も考慮して、もし必要なら方法も同じでよいのか、工夫の余地はないのかなど改善策が話し合いの中で出てくる中で、自分は無駄なことだと思っていたが、実はこんな意味があったのかと気づかれる場面もある。学校の中でそうした意味を伝え合うことがあまりないからだろう。